1994 Fiscal Year Annual Research Report
大型木構造部材の破壊現象の亀裂伝播測定手法による解明
Project/Area Number |
04660180
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Research Institution | Sizuoka University |
Principal Investigator |
今山 延洋 静岡大学, 教育学部, 教授 (30022213)
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Keywords | 大型木構造 / 集成剤 / 接着層 / 疲労 / 曲げ / 亀裂伝播 / 接着剤 |
Research Abstract |
近年、わが国でも体育館をはじめとして大型木造構造物が普及しはじめ、地震や台風の時には集成材部材や接合部に大きな荷重が作用することが多くなり、破壊の危険性も増している。構造強度の計算や接合部の開発などは進んでいるが、実際に荷重を受けている集成材部材の破壊現象はほとんど解明されていない。破壊亀裂伝播の観察手法を用いて、接着層の位置や数あるいは種類が、破断強度や破壊亀裂の進行の様子に与える効果を調べ、破壊亀裂に対する抵抗力が高い接着層の構成や種類を考察し、大型木造構造物の安全性の確保に役立てる。その結果、次のことが明らかになった。 接着層が1本の場合、亀裂伝播曲線の第2段階、つまり亀裂伝播の定常部分に接着層が位置する場合に、接着層の効果が大きいことが明らかになった。また、定常部分でも特に20%付近に最大があるように思われる。 接着層の位置を、最も有効な位置にして接着層が1本の場合と、2本の場合を比較すると、2本の場合が非常に破壊回数が増加し、研究の予想が確認された。さらに、接着層を2本置いた場合に、亀裂が接着層を通過する様子が明らかになり、これが強度の増加につながることも確認された。以上の研究には、接着剤として耐水性が高いレゾルシノール樹脂接着層を使用してきたが、おなじく耐水性が高い水性高分子イソシアネート樹脂についても検討を行った。色々な大きさの繰り返し応力に対する破断までの繰り返し数は、水性高分子イソシアネート樹脂接着剤はレゾルシノール樹脂接着剤の強度のばらつきの中に含まれており、ほぼ両者は同程度の破壊強さを有することが明らかになった。以上のように大型木造構造物の集成材における接着層の破壊強度に対する研究の成果を上げることができた。
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