1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660183
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
滝 欽二 静岡大学, 農学部, 助教授 (00022252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 信之 静岡大学, 農学部, 教授 (70023439)
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Keywords | 林地残廃物 / 針葉 / 精油成物 / 樹皮 / ゴキブリ忌避性 / タンニン系接着剤 / 和紙 / プラスチック化 |
Research Abstract |
近年の地球環境の面から限りある森林資源の有効利用は重要な課題である。一方,森林,木の国といわれるわが国も国産材は外国産材との市場競争に押され,林業をとりまく情勢は厳しい立場にある。このような状況のものにあるわが国の林業環境の一助として林地残廃物として出てくるスギおよびヒノキの樹皮と針葉についての活用のための研究を行った。樹皮は抽出物と残渣に分けて検討した。樹皮のメタノール抽出残渣からアルカリ抽出し,フェノール類を核交換反応を行ないフェノール化した。メタノール抽出物の収率はスギ樹皮は2〜3%,ヒノキのそれは5%程度である。またその残渣のアルカリ抽出物はヒノキに比べてスギの場合の方が収率もよいので,これからタンニンのフェノール化し,合成条件を変えて接着剤化できることがわかったが,木材の接着性能はまだ十分ではない。一方,スギの内皮をアルカリ処理して繊維化し,漂白,解繊,叩解をしたあと,紙を漉くようにして製紙を試みた。その結果,洋紙状ではないが,クラフト紙,和紙風のものが出来ることが明らかとなったが,繊維の種々の強度,結合状態,漂白による色差状態などを調べる必要がある。針葉の利用としてスギ,ヒノキ針葉の抽出分離をし,精油抽出物のゴキブリ忌避性と残渣のプラスチック化を検討した。精油成分のゴキブリ忌避性はヒノキの方がスギの場合よりも効果があることが判明したが,その残効性能,有効成分の特定は現在まで明らかではない。また精油残渣の化学組成の結果,スギ,ヒノキとも可溶性無窒素物,粗繊維は約80%含有されており,木材に比べてセルロース含有量は小さいが,多糖類がかなり含有されているので,化学修飾することによって針葉精油残渣物のプラスチック化の可能性が明らかとなった。次年度は上記内容の研究をさらに進行させる予定である。
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