1992 Fiscal Year Annual Research Report
ジアルデヒドセルロースよりえられる含ちっ素セルロース誘導体の特性化に関する研究
Project/Area Number |
04660187
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前川 英一 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (00027161)
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Keywords | ジアルデヒドセルロース / 含ちっ素セルロース誘導体 / 機能性セルロース / 高分子特性解析 / 過ヨウ素酸酸化反応 / オキシム型セルロース誘導体 |
Research Abstract |
本課題研究は、天然高分子多糖として最も豊富に存在するセルロース素材を化学的に改質して、特殊な機能を付与したセルロース誘導体に開発することを意図して実施してきた研究である。本年度までに研究課題に関連して実施してきた研究内容に関して以下のような結果が得られている。まず市販のセルロース粉末試料を反応しやすい状態に調整するためにあらかじめ溶媒置換、膨潤、非晶化処理を施した。この活性化処理したセルロース試料にメタ過ヨウ素酸塩試薬を加えて水系のもとで酸化反応させて、反応性アルデヒド基を分子内に含むジアルデヒドセルロースに調製した。この際、過ヨウ素酸酸化反応を制御して、酸化の程度の異なる生成物を調製した。酸化の程度の進んだものは後の反応において水溶性の生成物を与えたが、酸化の程度の低いものは水に溶けない生成物であった。セルロース試料の80%程度酸化されたものはどちらとも判定しがたいゲル様の生成物を与えた。ジアルデヒドセルロースにヒドロキシルアミン試薬を反応させて、オキシム型セルロース誘導体に調製した。この生成物の調製において、pHの制御が重要な反応要素であることを究明し、この種の反応における安定な最適のpH領域を設定した。さらに生成物を注意深く還元して、分子内に第1級アミノ基を生成した特異なセルロース誘導体に変換した。かくしてえられた生成物の性状を検討するために種々の化学分析機器を用いて分析し、生成物の分子構造的特性について解析した。
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[Publications] 前川 英一: "Preparation and Characterization of Hydroxamic Acid Derivative and its Metal Complexes Derived from Cellulose" J.Appl.Polymer Sci.40. 1601-1613 (1990)
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[Publications] 前川 英一: "Preparation and structural Consideration of Nitrogen-containing Derivatives Obtained from Dialdehyde Celluloses" J.Appl.Polymer Sci.42. 169-178 (1991)
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[Publications] 前川 英一: "Analysis of Oxidized Moiety of Partially Periodate-oxidized Cellulose by NMR Spectroscopy" J.Appl.Polymer Sci.43. 417-422 (1992)