1993 Fiscal Year Annual Research Report
多機能性タンパク質コラゲナーゼインヒビターの細胞内動態に関する研究
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04670010
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
星野 洸 名古屋大学, 医学部, 教授 (40000913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 邦彦 名古屋大学, 医療技術短期大学, 教授 (30001051)
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Keywords | コラゲナーゼインヒビター / TIMP / 細胞内動態 / 細胞培養 / 細胞周期 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
コラゲナーゼインヒビター(TIMPと略称)はその名称である機能の他、サイトカインとして赤血球系細胞や他の多くの培養細胞に対して増殖刺激活性をもつことが分かって、その多彩な機能が注目されている。本研究はTIMPの細胞内動態、特に、細胞核への集積現象について検索し、その機能的意義を考察するものである。 本年度に得られた成果は、以下の点にまとめられる。 1.分離核におけるTIMP量とDNA量との関係:Raji細胞を用い、ホモゲナイザーによる軽い破砕と数回の洗浄・遠沈により分離核を得た。これをTIMP免疫蛍光染色及びPIによるDNAの蛍光染色により二重染色して・FACS分析した。分離核はその約45%がTIMP陽性で蛍光強度はほぼ正規分布を示し、DNA量とは相関しなかった。このことからTIMPは細胞周期の推移に関係して増減することが示唆された。 2.ヒト培養線維芽細胞におけるTIMPの動態:ヒト歯肉由来線維芽細胞(Gin-1)を用いてTIMP産生細胞におけるTIMPの核内集積の動態を、増殖細胞核抗原(PCNA)とBrdUによるS期ラベリング細胞の動態と比較した。細胞周期同調培養において、TIMPの核への移行・集積はG1期途中に始まってS期後までに存在し、G0期において著減することが明らかになった。 3.増殖活性の高い腫瘍性細胞におけるTIMPの細胞内動態:HeLa細胞ではPCNA陽性率が90%以上で、細胞質のTIMPが高く、TIMPの核陽性率も80%以上を示した。 以上の一連の研究結果から、TIMPの核内への移行・集積は細胞増殖と関連して起こると結論された。
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[Publications] Li H,Nishio K,Yamshita K,Hayakawa T,Hoshino T: "Intranuclear localization of tissue inhibitor of metalloproteinases-1 immunoreactivity in proliferating human fibroblasts in culture." Cell Tiss Res. 276(発表予定). (1994)