1993 Fiscal Year Annual Research Report
胃の腸上皮化生の安定性に関する形態学的並びに分子生物学的研究
Project/Area Number |
04670211
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
渡辺 敦光 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (00034653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 明弘 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (60034633)
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Keywords | ラット / X線照射 / 腸上皮化生 / 胃癌 / 発癌物質 |
Research Abstract |
本年度は5週齢のCDラットを使用して1週間前に性腺を摘出し、テストステロン(T)やディエチールエストラジオール(DES)のコレステロールペレットを与えX線を胃部に10Gyを3日間隔で照射し6ヶ月後には動物を屠殺した。アルカリフォスファターゼ活性を持つ腸上皮化生(ALP)は雄は雌に比べて多く、雄の睾丸摘出で雄よりも減少し、雌の卵巣摘出で雌に比して増加した。性腺を摘出した雄や雌はT投与で増加し、DES投与で減少した。この結果はTがALP活性を持つ化生を増加させ、女性ホルモンが抑制的に働いていると考えた。次に雄のCDラットに同様にX線を照射し、6ヶ月後にヒスタミン投与、セルベックス投与並びに唾液腺摘出を行った後2ヶ月後に動物を屠殺した。X線単独ではALPは時間経過と共に増加した。しかし胃酸の分泌の増加する方法即ちヒスタミン投与や、唾液腺摘出を行うとALPの数が減少した。しかし、酸の分泌を変えず粘液の増生を行う作用をするセルベックスはALPはX線単独と同じで数の変動は認められなかった。以前の実験で胃酸の分泌を抑制する薬の投与でALP数は増大する事から、腸上皮化生を起こす一つの要因は胃内の酸の分泌が減少すると腸上皮化生が増加し、一方一度出現した化生は酸の分泌が高まると胃粘膜へ再分化するのではないかと考えた。更にこのX線照射動物に1%の食塩餌を与え6ヶ月後にヒスタミンと唾液腺摘出を行うとALP数は処理後3日目に減少し、腸上皮化生と胃粘膜のキメラ構造が認められた。この事は更に我々の作業仮設を支持している。最後にWistarラットを用い10Gyを3日間隔でX線照射後大腸型の化生を起こした2ヶ月目よりMNNG、MNU又はDMHを投与し、胃癌発生との関係を検討した。しかしいずれの場合にもX線照射後発癌処理を行った群と発癌処理のみを行った群間では発癌率に差は無く、腸上皮化生と胃癌との直接的な関係は認められなかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 渡辺敦光: "ラットX線誘発腸上皮化生のセルベックスの影響" 基礎と臨床. 27. 481-484 (1993)
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[Publications] 渡辺敦光: "20GyX線1回照射により生じた胃粘膜の食塩、並びにエタノールの影響" Toxicol.Pathol.6. 59-65 (1993)
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[Publications] Watanabe,H.: "Effects of sex hormones on induction of intestinal metaplasia by X-irradiation in rats." Acta Pathol Jpn.43. 456-463 (1993)
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[Publications] Watanabe,H.: "The influence of gastric pH modifiers on intestinal metaplasia induced by X-irradiation in rats." Jpn.J.Cancer Res.84. 1037-1042 (1993)
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[Publications] 渡辺敦光: "N-methyl-N-nitorosourea(MNU)経口投与によりラットに誘発された胃腫瘍および脊髄腫瘍に対するセルベックスの影響" 基礎と臨床. 27. 6067-6074 (1993)
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[Publications] Watanabe,H.: "The influence of intestinal metaplasia on development of gastric tumors in Wistar rats receiving X-rays and MNNG,MNU,or DMH." Oncology Report. (in press).