1992 Fiscal Year Annual Research Report
発癌性複素環状アミンのヒトでの動態と発癌に関する研究
Project/Area Number |
04670305
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗原 伸公 東京大学, 医学部(医), 助手 (10234569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 攻 東京大学, 医学部(医), 教授 (60009933)
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Keywords | 複素環状アミン / 発癌 / ピリジン誘導体 / 暴露レベル / ヒト排泄物 / 尿 / 胆汁 |
Research Abstract |
これまでの我々のグルーの研究により、発癌性複素環状アミン類は、従来言われていた加熱中食品だけでなく、大気中、雨水など、広く環境中に見られるものも多いことがわかってきた。すなわち、ヒトはこれらに広く環境中から暴露されている可能性が示唆されている。ところが、発癌性複素環状アミンのヒト体内における動態については、未知の部分が多い。本年度の研究において、我々は、比較的最近に発見された発癌性複素環状アミンであるピリジン誘導体(PhIP)のヒト暴露量およびヒト体内動態を調べるために、まずヒト排泄物、特に尿、胆汁中におけるPhIPを、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。現時点までに得られたデータによれば、まず、PhIPは、他の発癌性複素環状アミンに比べて、そのヒト排泄物中の存在量が比較的多いということが明らかとなった。これは、PhIPが環境中においても他の発癌性複素環状アミンよりも比較的多量に存在するという、これまでに得られているデータに合致している。すなわち、ヒトはこの物質に比較的多量に暴露している可能性が示唆された。また、同一グループの人々においてPhIPの尿中排泄量と胆汁中排泄量を比較すると、両者に有意な差を認めなかったことから、PhIPの尿中排泄量を用いることによって、ヒトのPhIPの暴露レベルを推定できる可能性があるということが明らかとなった。ただし、実際に利用できる暴露レベル指標を確立する為には、さらに多くのデータの蓄積を必要とすると思われる。今後は、これらの研究成果を踏まえ、それを発展させながら、さらには慢性腎不全の透折患者をモデルとした研究も行うことによって、発癌性複素環状アミンのヒト暴露量とその体内動態、および発癌との関連性について研究を進めて行きたいと考えている。
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Research Products
(1 results)