1992 Fiscal Year Annual Research Report
食塩摂取量の日内配分シフトが24時間血圧値ならびに血圧日内変動に及ぼす影響
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04670542
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川崎 晃一 九州大学, 健康科学センター, 教授 (00038704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 和枝 中村学園大学, 食物栄養学科, 教授 (80104983)
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Keywords | 食塩摂取量 / 食塩摂取量の日内配分 / 24時間血圧値 / 血圧日内変動 / 頂点位相 / 尿中Na排泄量 / 尿中K排泄量 / 尿中電解質の日内変動 |
Research Abstract |
【目的】食塩の過剰摂取が高血圧の重要な増悪因子の一つであることは周知の事実であり、我が国でも1日10g以下の減塩指導が行われている。しかし食塩の摂取時間帯と血圧との関連については検討されていない。そこで食塩の1日摂取量を変えずに日内配分のみを変えて、尿中Na・K排泄量・排泄パターンと血圧日内変動に及ぼす影響について検討した。 【方法】健康な女子大学生9名(平均21才)を対象とした。食塩の日内配分のみを変えた下記の3種類の食事をそれぞれクロスオーバーさせて摂取させた。検査食は(1)コントロール食(C食:朝2g・昼5g・夜5g)、(2)朝高塩食(MH食:朝8g・昼2g・夜2g)、(3)夜高塩食(DH食:朝2g・昼2g・夜8g)とした。C食は6日間、MH食・DH食はそれぞれ8日間摂取させ、各検査食の間は1週間の間隔をあけた。採尿は各検査食期間中、午前8時30分から22時30分までは2時間間隔の8回と起床時の午前6時の1日計9回の分割採尿を毎日行った。血圧は携帯型血圧計(TM-2421)を使用し、午前6時から24時までを15分間隔、24時から午前6時までを30分間隔で48時間測定した。尿と食事のNa・Kは原子吸光法で、尿クレアチニンは自動分析装置で測定した。 【結果】(1).食塩の日内配分を変えても24時間の尿量ならびに尿中Na・K排泄量には検査食間の差を認めなかった。(2).48時間平均血圧値は食塩日内配分を変えても差を認めなかった。(3).血圧の頂点位相は収縮期ではDH食16:13±1:14、C食17:58±1:01で、その間に有意差を認めた。拡張期血圧も同様であった。(4).食塩摂取時間帯による尿中Na排泄量の頂点位相の差と収縮期血圧の頂点位相の差の間にr=0.584(p<0.05)、尿中K排泄量の頂点位相の差と収縮期血圧のそれとの間にr=0.577(p<0.05)の有意な正相関を認めた。 【結語】食塩摂取の日内配分を変えると、尿中Na排泄パターンが変わり、それに同調して血圧日内変動の頂点位相も変動することが示唆された。
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