1992 Fiscal Year Annual Research Report
脳性ナトリウム利尿ペプチドの高血圧症および心疾患における病態生野学的意義
Project/Area Number |
04670544
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
江藤 胤尚 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (10038854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 和雄 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (50204912)
木田 修 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (00177875)
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Keywords | 脳性ナトリウム利尿ペプチド / 心房性ナトリウム利尿ペプチド / 高血圧 / 自然発症高血圧ラット / DOCA-食塩高血圧 / ストレプトゾトシン糖尿病 |
Research Abstract |
1.各種心疾患の病態および高血圧の発症におけるBNPの役割 (1)血中ANP・BNP濃度と血行動態との関係:心臓カテーテル検査で得られた血行力学的パラメーターと、ANPやBNPの血中濃度との間で最も有意な相関を示した因子は、左房圧を反映する肺動脈楔入圧(PAWP)と右房圧であり、前負荷がANP、BNPの上昇に関与することが明らかにされた。(2)運動負荷とANP・BNP濃度との関係:運動負荷時に、心血行動態上PAWPの高い症例では、ANP・BNP濃度は運動前ですでに高値で、運動によりさらに上昇した。つまり、心予備能の障害を有する場合、心内圧の上昇を反映してANP・BNPは分泌されると考えられた。(3)PTMC前後のANP・BNP濃度:PTMC直後より左房圧の低下と平行してANP濃度は低下したが、BNP濃度は直後に変化がなく、その後緩徐に低下した。これは、BNPが主に心室で合成され、ANPと異なる合成、分泌、代謝系を有することを示唆する。(4)高血圧疾患:プロトコールに従い、症例の蓄積を継続中である。 2.BNPの心臓における合成、分泌動態 (1)自然発症高血圧ラット(SHR):週齢が進み、高血圧が発症するにつれ、血中 ANP・BNP濃度は上昇し、これと平行して心室ANP・BNP含量は増加した。(2)DOCA‐食塩高血圧ラット:高血圧の発症、進展に伴い、血中 ANP・BNP濃度は上昇し、これと平行して心室ANP・BNP含量は増加したが、逆に心房のANP・BNP含量は平行して減少した。ANPmRNAは主に心房で発現し、高血圧の進展とともに、心室でも発現した。BNPmRNAの発現は高血圧の初期には心房、心室ともに亢進し、高血圧の進展とともに心房で減少し、心室で著増した。BNPはANPと異なった合成、分泌様式を有する。(3)SHRおよびストレプトゾトシン糖尿病併発SHRモデルにおける研究も進行中である。(4)その他、実験ネフローゼにおけるANP・BNPの血中レベルの上昇が観察されることや、ヒトの単球培養細胞(THP‐1)においてCNPが合成、分泌され得ることを明らかにした。
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[Publications] Yushiro Ishizaka: "Isolation and identification of C-type natriuretic peptide in human monocyte cell line,THP-1" Biochemical and Biophysical Research Communication. 189. 697-704 (1992)
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[Publications] Naoto Yokota: "Increased plasma levels and effects of brain natriuretic peptide in experimental nephrosis" Nephron.
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[Publications] Naoto Yokota: "Al terations in Circulating levels and cardiac tissue concentrations of brain natriuretic peptide in spontaneously hypertensive rats." Cardiovascular Research.