1992 Fiscal Year Annual Research Report
癌患者リンパ球と皮膚線維芽細胞の培養による慢性放射線障害予測法の開発と臨床応用
Project/Area Number |
04670677
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊東 久夫 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (20095574)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 俊威 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90189077)
茂松 直之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30178868)
西口 郁 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20198451)
尾川 浩一 法政大学, 理工学部, 助教授 (00158817)
|
Keywords | 慢性放射線障害 / 耐用線量 / 光学的生存率測定 / 初代培養細胞 |
Research Abstract |
放射線治療の最大の問題点の1つである正常組織の耐用線量を、患者から採取した生検材料より作成した初代培養細胞を用いて患者毎に決定し、耐用線量が大きな患者には多くの線量を照射して、癌の治癒率を向上させる目的で本研究を行なった。培養細胞の生存率の測定には光学的測定法(densitometry)を用いた。平成4年度は臨床の患者生検材料による検討は8症例に行なったのみで、臨床的評価を行なうには不十分であった。患者の繊維芽細胞は増殖速度がまちまちであり、一定の基準を用いて安定した結果を得るためには、癌細胞を用いた場合と異なる実験系が必要な事がわかった。培養細胞を用いた実験では、ヒト癌培養細胞26種いずれでも、放射線感受性では光学的測定がcolony法と高い相関を示した。ただ、1-2Gyの少ない線量では光学的測定法はcolony法より高い生存率となっていた。これは放射線照射後に死滅してplateより剥離すべき細胞がplateに付着して残存し、死滅した細胞の一部が生細胞のごとく判定されるためで、光学的測定法の人工的産物と考えられた。しかし、光学的測定法間で細胞の放射線感受性を比較する場合には、感受性の判定を誤る原因とはならず、測定系の信頼性を失うものではないと考えている。分割照射時の回復を光学的測定法とcolony法で比較すると、両者はほぼ同一の回復率となり、光学的測定法による結果は、従来のcolony法と同様に考えてよいと思われる。平成5年度は、臨床材料より作成した培養細胞を用いて、測定系の信頼度を十分に検討しえたと考えている。
|