1994 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内pH(pHi)と熱感受性・熱耐性との関係及び種々薬剤によるpHiへの影響
Project/Area Number |
04670682
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
田中 敬正 関西医科大学, 医学部, 教授 (40131445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
播磨 洋子 関西医科大学, 医学部, 助手 (80140276)
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Keywords | 温熱処理 / 腫瘍細胞 / 細胞内pH / 螢光色素 |
Research Abstract |
本年度は(1)異なる細胞における細胞外pHと細胞内pHの関係(37℃条件下)についてしらべた。(2)非温熱耐性細胞と熱耐性細胞についてpHeの違いによるpHiの変化の比較を行う。また、pHeを6.5〜7.5に調節してpHiの変化を両考について調べた。(4)高pHi群と低pHi群の熱感受性の差;FCMのsorting技術を用いて、高pHi細胞、低pHi細胞とに分取し、pHiの違いによる熱感受性をcolony法で調べる。更に各群のcell cycleを調べた。 結果:(1)pHeが6.50の時、温熱感受性の高い、V-79細胞の方が加温後30分間のpHiの低下が、6.58から6.48と0.1pH unitの低下に対し、温熱抵抗性であるHela細胞でも6.60から6.54と、0.06pHの低下を示した。同様にpHeが、7.20でもV-79細胞は、7.07から7.02と0.05pH unitの低下に対し、Hela cellでは、7.10から7.02と0.07pH unitの低下を示した。このように温熱感受性と加温中の細胞内pHiの低下とは、直接、相関するものは得られなかった。しかし、pHeが7.50と高い場合、温熱抵抗性であるHela細胞では加温中にpHiの上昇を認め、V-79細胞ではpHiに変化が見られなかった。これらは、温熱感受性の低い、高pHe下の細胞では加温中に観察されるpHiの酸性化が出現しにくいことが確認できた。 (2)非温熱耐性細胞(Non-T.T.)と温熱耐性細胞(T.T)の加温中の細胞内pHの変化:Non-T.T.細胞の方がT.T.細胞よりpHiの酸性化が大きく、この傾向はpHeが6.50と低い時よりも7.50と高いときに明らかであった。pHeが7.50の時、Non-T.T.細胞では加温中にpHiの変化は認められないが、T.T.細胞ではpHi値は7.32から7.44と0.1pH unitsの上昇を認め、pHiの酸性化は認められなかった。このように温熱感受性の低いT.T.細胞でpHiの酸性化が弱く、pHiの変化と温熱感受性には相関があることが示唆された。 (3)FCM Cell Sotingにる細胞損傷とヘキスト色素の細胞毒性のため再現性のある結果が得られず現在実験を継続中である。
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