1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04670769
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
上野 桂一 金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (30184948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 哲生 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (40194170)
永川 宅和 金沢大学, 医療技術短期大学部, 教授 (50019600)
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Keywords | 肝門部癌 / 肝虚血 / 部分的門脈動脈血化法 / 肝十二指腸間膜全切除術 / 肝門部肝切除 / 肝組織血流 |
Research Abstract |
肝門部胆管癌および肝門部浸潤を有する進行胆嚢癌に対する拡大肝門部切除術式を考案し、その臨床応用に向けての基礎的研究を行うことを目的とした。本術式は肝十二指腸間膜の全切除すなわち門脈、肝動脈、胆管の全切除と再建、肝門部肝の広範囲切除から構成されるが、切除再建手技の開発、習熟と術後に高率に発生する肝障害対策が大きな問題となる。初年度(平成4年度)には術後肝不全対策として部分的門脈動脈血化法の有用性について検討した。すなわち門脈大腿動脈間のウロキナーゼコーティングカテーテルを用いたチューブバイパス法を行ってその有用性を2週にわたり追跡し、肝門部の完全郭清を伴う肝動脈血流遮断に際して極めて有効であることを立証した。次年度(平成5年度)には肝門部郭清の構成要素である肝門部リンパ管及び神経の切離郭清が肝に及ぼす影響について4週にわたり検討した。その結果、肝内リンパ管の長期にわたる拡張と肝道系酵素の上昇、肝組織ENERGY CHARGEの低下が証明された。これらの結果は門脈及び肝動脈血流量の低下と密接に関係しており、肝門部肝切除に際してはより重篤な肝障害の発生に帰結する可能性が示唆された。最終年度(平成6年度)では肝門部肝切除に部分的門脈動脈血化法を加えたモデル作成を行うべく、門脈肝動脈シャント、小腸静脈小腸動脈シャントを作成し、それらにおける肝血流量、肝酸素受容動態、肝機能、肝組織ENERGY CHARGE、肝の組織学的変化について術後4週にわたり観察した。その結果、門脈肝動脈シャントでは門脈圧上昇に起因した肝機能障害を惹起するのに対し、小腸静脈小腸動脈シャントでは門脈圧上昇はみられず、肝動脈の遮断に対しても有効な酸素供給が維持され、肝機能もほぼ正常に保たれた。肝動脈の肝内分枝での再建は現在不安定な手技であり、門脈を介して肝血流の酸素化を図ることは術後肝障害を防止する上で有用であると結論した。
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[Publications] 中野達夫: "動脈遮断肝に対する部分的門脈血化法の検討-ウロキナーゼ固定化カテーテル装着法の有用性について-" 金沢大学十全医学会雑誌. 101. 882-896 (1992)
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[Publications] 洲崎雄計: "肝門部郭清の肝に与える影響に関する実験的研究-とくに神経およびリンパ管遮の影響を中心に-" 金沢大学十全医学会雑誌. (発表予定).
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[Publications] 長森正則: "動脈遮断肝に対する部分的門脈動脈血化に関する実験的研究-各種シャント法別における肝の血流及び組織代謝に関する検討-" 金沢大学十全医学会雑誌. (発表予定).