1993 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌剤封入リポソームを用いたDDSの基礎的・臨床的研究
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04670801
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
熊井 浩一郎 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (30101984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田隈 卓史 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (30051626)
村山 良彦 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30239553)
柴田 三省 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50216008)
清水 宏之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00206210)
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Keywords | アドリアマイシン / リポソーム / モノクロナール抗体 / Fab〓フラグメント / ガングリオシドGM1 / リンパ節転移 / 内視鏡下局注 / 温度感受性DDS |
Research Abstract |
1.ターゲテイング効果増強を目的としてアドリアマイシン封入リポソーム(Lip‐ADM)に腫瘍関連モノクローナル抗体を結合させて行うDDSの網内系組織への補足対策としては、前年度に行った抗体のFab〓フラグメント化はなお十分な効果が得られなかったため、リポソームの組成変更を検討した。EggPC,cholesterolを主成分とするリポソームにガングリオシドGM1を加えたstealth Lip‐ADM(I)およびGM1とsphingomyerin(SM)を混合したstealth Lip‐ADM(II)は、非担癌B10.BRマウスおよびヒト肝癌株Li‐7担癌ヌードマウスにおける体内動態の検討で、いずれも肝、脾へのADM集積が著明に減少した。一方、心筋内ADM濃度は低下し、血清中および担癌マウスにおける腫瘍中ADM濃度上昇が認められた。Li‐7に対する抗腫瘍効果も、実験終了時の実測腫瘍重量による対比でstealth Lip‐ADMの効果増強がうかがわれた。 2.温度感受性リポソームTS‐Lip‐ADMに対する抗ヒトAFPモノクローナル抗体F6結合によるターゲテイング化は、脂質組成の検討の結果モル比でDPPC:DSPC:cholesterol:DTP‐DPPE=7:2:3:0.1のTS‐Lip‐ADM=Abが、42度Cで効率よくアドリアマイシンを放出し、37度C以下では安定であった。AFP産生ヒト肝癌株NUE担癌ヌードマウスにおいて、ADM相当5mg/kg投与1時間後の15分腫瘍局所加温で有意に腫瘍集積性が向上した。ADM相当2.5mg/kgの3回投与実験でTS‐Lip‐ADM=Ab群で有意の抗腫瘍効果増強が認められた。 3.リンパ組織指向性DDSとして、VX2腫瘍をニュージーランド系白色家兎の胃漿膜下に全身麻酔下開腹により移植することで、胃近傍リンパ節転移モデルを作製した。Lip‐ADM(MLV)のADM相当2mg/kgの胃内視鏡下粘膜下局注は、freeADM局注群に比べ広範なリンパ節転移腫瘍の懐死をきたした。薬物動態では、投与後7日目でLip‐ADM群でリンパ節内ADM濃度が高値を示す傾向を認めた。胃癌患者に対する胃内視鏡下Lip‐ADM5〜14.3mgの分割局注の臨床応用を行い、freeADM局注群に比べ胃領域リンパ節への高濃度ADM集積を認めた。
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