1994 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌の浸潤:転移に関係するメタロプロテアーゼの役割と意義
Project/Area Number |
04670813
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Research Institution | Kurume University School of Medicine |
Principal Investigator |
諸富 立寿 久留米大学, 医学部, 助手 (80166462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 一秀 久留米大学, 医学部, 助手 (20209711)
緒方 裕 久留米大学, 医学部, 助手 (20177124)
白水 和雄 久留米大学, 医学部, 講師 (20216203)
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Keywords | 大腸癌 / 浸潤 / 転移 / メタロプロテアーゼ / 転移モデル / In site Hybridization |
Research Abstract |
平成6年度の研究計画に基づいて,ヒト大腸癌とヌードマウス移植大腸癌におけるMMP-9の発現について,digoxigenin labeled RNA probeを用いたin situ hybridizationを使って検索した。ヒト大腸においては腺腫3例,大腸癌47例を対象とした。結果は腺腫,癌,共にMMP-9の発現を認め,特に間質の細胞よりも腫瘍細胞での発現が強かった。間質では繊維芽細胞,好中球,マクロファージに発現を認めた。又,癌部では癌胞巣の中心部よりも発育先進部で強く認められた。さらに肝転移陽性症例7例では全てMMP-9の発現を認めたが,肝転移陰性例40例では29例(72.5%)に発現を認めた。又,間質においても肝転移陽性例では5/7(71.4%)に対し,肝転移陰性例では17/40(42.5%)であった。 ヌードマウス移植大腸癌の肝転移モデルでは,MMP-9とTIMP-1の発現を検索した。肝転移モデル20例を作製し,肝転移率は40%であった。MMP-9とTIMP-1の発現は腫瘍細胞,間質細胞共に70〜80%であった。又,肝転移の有無とMMP-9とTIMP-1の発現に関しては,肝転移陽性8例では全てMMP-9の発現が高く,肝転移陰性の12例では6例(50%)でMMP-9の発現が低かった。又,各々の症例でのMMP-9とTIMP-1のバランスでは肝転移陰性例ではMMP-9がTIMP-1より強く発現しているものが有意に多かった。当初の目的を達成し,平成6年度の研究結果からは,MMP-9が血行性転移形質の一つであることが示唆されると同時に,腫瘍細胞におけるMMP-9とTIMP-1の産生のバランスが転移形成に必要であることが判明した。
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Research Products
(2 results)