1992 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル蛋白を修飾する糖鎖についての組織化学的および生化学的研究
Project/Area Number |
04671098
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松尾 三郎 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (30144497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清宮 健一 大阪府立大学, 農学部, 助手 (50234399)
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Keywords | エナメル質 / 石灰化 / NaF / 糖鎖 / レクチン / golgi装置 |
Research Abstract |
エナメル基質の形成と石灰化における糖鎖の役割に関する前年度までの研究において、エナメル芽細胞が分化しエナメル基質の合成・分泌活性を高めると共に、Golgi装置においてgal、galNAc、glcNAc、sialic acidなどの糖鎖の付加活性を高めることを観察してきた。これらの糖鎖がエナメル質形成においてどのように関与するかを、NaF処理により導いた石灰化不全ラット切歯歯胚を用いて、lectin染色により調べた。 NaFを6.31または12.62mM添加した飲水による一ヶ月間の経口投与や、一日に2回20mg/kgの割合で4日間の皮下投与した歯胚の光顕観察において、6.31mM飲水投与群ではエナメル質での著名な変化が見られなかったものの、12.62mM飲水投与群や20mg/kg皮下投与群では、エナメル質で基質の構造的乱れをともなう低石灰化帯の形成を認めた。一方、電顕観察では、投与量により強度の差異をともなうものの、これらの処理により細胞質での異常顆粒の貯留や、エナメル質でのstippled material様物質の蓄積が見られた。さらに、一部のGolgi装置ではstackが小さくなり、sacuuleの並びが乱れる傾向も認められた。 NaFの糖付加活性に対する影響を、6.31mM飲水投与群の歯胚を用いて、HRP標識lectin(Con A、GS-I、SBA、WGA、PNA)により観察した。NaF処理においても、Golgi装置はこれらのlectinに対して反応性を示すものの、stack内での反応産物の分布が変化する傾向が見られた。すなわち、stack内のより多くのsacculeが染色陽性を示す傾向が見られ、特に、構造の乱れを示すstackでこの傾向が強かった。これらの事から、NaFがGolgi活性の低下を導く可能性が考えられ、現在より高濃度処理群での検証を進めている。
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