1993 Fiscal Year Annual Research Report
二相性リン酸カルシウム系骨補填材充填が歯周組織の再生に及ぼす影響について
Project/Area Number |
04671156
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小田 茂 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (70160869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 淳博 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (10242207)
魚島 マリコ 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (50228425)
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Keywords | 二相性リン酸カルシウム / ハイドロキシアパタイト / β-リン酸三カルシウム / マクロファージ / ラット / サル |
Research Abstract |
高度の歯槽骨吸収を伴う場合には,人工骨補填材を使用して歯周組織の再生をはかる方法が研究されてきている.われわれは,特に生体親和性が高く,周囲歯槽骨からの骨伝導能を有するハイドロキシアパタイトと,生体内での吸収性を有するβ-リン酸三カルシウムとの複合材料である二相性リン酸カルシウム系人工骨補填材(BCP)顆粒を,ラット頭蓋骨やサル歯槽骨骨欠損部に充填した場合の顆粒の吸収,骨への置換程度について検討をかさねてきている.今回は,Wistar系雄性ラット60匹の頭蓋骨に骨欠損を作成し,BCP顆粒を充填し顆粒の流出防止のためにテフロン膜を置き,顆粒自体の新生骨置換過程を32週の長期にわたり組織学的に検索した.術後1週例では,顆粒の結晶は辺縁から崩壊しその周囲には結晶を貪食した多数のマクロファージが観察された.週を追うごとに顆粒の崩壊は進み,16週では,顆粒内部に層板構造のみられる比較的分化した新生骨組織が観察された.32週では,骨欠損内部の新生骨の量が増し崩壊した顆粒を埋入した新生骨も観察された.従って,欠損部の新生骨の形成は,BCP顆粒が一度吸収されてからおこりその崩壊,吸収過程にはマクロファージが関与していること,BCP顆粒は骨親和性の高い材料であることが示唆された.さらに日本サル3頭に一壁性の骨欠損を外科的に作製し,BCP顆粒と上記の膜を併用し,硬組織時刻描記を行い術後3ヶ月における歯周組織の再生について組織学的に観察した.その結果,BCP顆粒はマクロファージに貪食,吸収されその後骨に置換されること,石灰化した新生セメント質がかなりの量で添加されていることなどが観察された.以上のことから,BCP顆粒は,顆粒自体の特性などにより歯周組織再生治療へ応用できうる材料であることが確認された.さらに,近年注目されている骨誘導因子(BMP)の担体としての可能性も有していると思われ,今後の検討が必要である.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Mariko HASHIMOTO-UOSHIMA: "Clinical and Histological Observation on Replacement of Biphasic Calcium Phosphate by Bone Tissue in Monkeys" The International Journal of Periodontics & Restorative Dentistry. (in press). (1994)
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[Publications] Isao ISHIKAWA: "Development of the Bone Substitute for the Treatment of the Periodontal Bone Defect" Proceedings of the 3rd World Congress for Oral Implantology. (in press). (1994)
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[Publications] 坂東薫: "ラット頭蓋骨骨欠損に二相性リン酸カルシウム系アパタイト顆粒を充填した際の長期における組織変化" 日本歯周病学会会誌 春季特別号. 第36巻 (in press). (1994)
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[Publications] 木下淳博: "歯周組織再生におけるrhBMPの応用-イヌ歯槽骨欠損へ移植した場合の組織学的観察-" 日本歯周病学会会誌 春季特別号. 第36巻 (in press). (1994)
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[Publications] 小田茂: "二相性リン酸カルシウム(Biphasic Calcium Phosphate)を担体としたリコンビナントBMP(rhBMP)の異所性骨形成能について" 日本歯科保存学会雑誌 春季特別号. 第37巻 (in press). (1994)