1992 Fiscal Year Annual Research Report
IL-2産生能の亢進および低下が歯周病発症に果たす役割の分子生物学的研究
Project/Area Number |
04671159
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
新井 英雄 岡山大学, 歯学部, 助手 (70222718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 慶壮 岡山大学, 歯学部附属病院, 助手 (70243475)
小林 芳友 岡山大学, 歯学部, 助手 (90234856)
栗原 英見 岡山大学, 歯学部, 助教授 (40161765)
村上 洋二 岡山大学, 歯学部, 教授 (50029972)
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Keywords | 若年性歯周炎 / Interleukin-2(IL-2) / T細胞 / CD3 / 細胞内Ca^<2+>濃度 / phorbol myristate acetate(PMA) / ionomycine / 細胞内情報伝達系 |
Research Abstract |
インターロイキン2(IL‐2)は免疫応答の調節を担うT細胞の増殖活性化因子であり、IL‐2産生の低下に起因すると思われる易感染性宿主の例が報告されている。T細胞は、CD3抗体刺激により細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させ、同時にphorbol myristate acetate(PMA)によって細胞内プロテインキナーゼを持続的に活性化させるとIL‐2を産生する。また、ionomycinは細胞内Ca^<2+>濃度を急激に上昇させるため、PMAとionomycinで同時にT細胞を刺激することによってIL‐2産生を誘導することができる。そこで、申請者らは歯周病の病態をT細胞のIL‐2産生能の面から調べ、次のような結果を得た。 まず、CD3抗体によってT細胞を刺激したときのIL‐2産生が極端に亢進した若年性歯周炎患者1名とIL‐2産生が正常の範囲内であった健常者のT細胞を、PMAとともにionomycinで刺激したところ、両者のIL‐2産生は同程度であった。したがって、この患者ではCD3抗体による刺激時に細胞内Ca^<2+>の極端な上昇が起こり、これがIL‐2産生の亢進に関わっている可能性が示唆された。 一方、CD3抗体およびPMAによるT細胞刺激時に、IL‐2産生が非常に低かった若年性歯周炎患者2名と健常者1名のT細胞を、PMAとともにionomycinで刺激したところ、IL‐2産生の低い傾向に変化はみられなかった。したがって、この3名では、ionomycinによる細胞内Ca^<2+>濃度を上昇が、IL‐2産生の傾向に影響を与えなかったことから、この3名の低いIL‐2産生は、CD3抗体によるT細胞刺激時の細胞内Ca^<2+>濃度の変化と無関係であることが示唆された。
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