1992 Fiscal Year Annual Research Report
ニフェジビンの血圧および歯周組織におよぼす影響に関する実験的研究
Project/Area Number |
04671167
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
松丸 健三郎 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (40048327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横藤 英夫 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (20166888)
菅原 教修 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (40048476)
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Keywords | Ca拮抗剤 / ニフエジビン / 結紮線 / 歯肉肥大 / ビーグル犬 / プラーク / 血圧 / 歯石沈着 |
Research Abstract |
Ca拮抗剤(ニフェジピン)を使用した実験的研究では、大量投与を試みたイヌやラットにおいて歯肉増殖が認められた報告があるが、歯肉増殖の発現と局所因子との関連については明らかではない。我々は予備的実験において、イヌに血圧の変動に大きな影響を与えない程度の量(ヒトの約3倍量)でも投与6カ月後の観察では、プラークが蓄積している部位には歯肉肥大が発現しうることを明らかにした。今回は、さらに動物数を増やし、局所因子としての結紮線を施した際に、同程度の薬剤投与量で歯肉にどのような変化が生じるかを観察した。ビーグル成犬3頭を用い、上下顎右側は歯石沈着下で、左側は健康歯肉を確立した上で実験に供した。また上顎左側犬歯には、歯頚部周囲に矯正用結紮線を装着した。薬剤は、2頭には6mg/kg(60mg)、1頭には4.4mg/kg(40mg)を18週まで毎日経口投与した。60mg投与群の1頭では、左側で口腔清掃を中止した。歯肉の肉眼的観察の他に、上顎左右犬歯部の頬側面について、歯冠側方向、頬舌方向、近遠心方向への歯肉の変化について模型上で術前と術後の距離を計測し比較した。歯肉の肉眼所見では、歯石沈着している右側全例と、薬剤投与開始後に口腔清掃を中止した1頭の左側でも18週後に歯肉の発赤、腫脹がみられた。歯肉の歯冠側方向への変化は、近・遠心部では、結紮線装着例で右側より大きく、中央部では逆に歯石沈着側で大きかった。頬舌方向への変化は、結紮線装着例で右側より大きかった。近遠心方向への変化は、結紮線装着例で口腔清掃を継続している群の1頭でのみ右側より大きかった。今回、結紮線を装着している左側犬歯部では、右側の歯石沈着部より歯肉肥大は明らかであり、このような変化は結紮線装着部で、口腔清掃の有無に関係なく見られた。結紮線はプラークの停滞因子の他に、歯肉に対する持続的機械的因子としても作用し、薬剤の歯肉に対する影響を増強させたものと思われた。
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