1994 Fiscal Year Annual Research Report
歯科小手術の高齢者内分泌系ホルモンに及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
04671211
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福島 和昭 北海道大学, 歯学部・附属病院, 教授 (00002361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀倉 更人 北海道大学, 歯学部・附属病院, 助手 (80214550)
藤沢 俊明 北海道大学, 歯学部・附属病院, 講師 (30190028)
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Keywords | 歯科小手術 / 高齢者 / ACTH / コルチゾール / アルドステロン / PRA / HANP / バゾプレシン |
Research Abstract |
高齢者において、静脈内鎮静法併用局所麻酔下での歯科小手術中の下垂体-副腎皮質系および体液調節系ホルモンの変化を観察した。 対象は、循環器疾患を有さない60歳以上の高齢者で、本院にて抜歯を中心とした歯科小手術施行を予定された患者10例とした。選択した局所麻酔法は、浸潤麻酔のみが8例、浸潤麻酔と下顎孔伝達麻酔との併用が2例であった。局所麻酔前安静時、局所麻酔後、手術操作時、手術終了時、術後30分の計5回採血を行い、検体に供した。測定項目は、下垂体ホルモンとしてACTH、副腎皮質ホルモンとして、コルチゾール、アルドステロン、体液調節系ホルモンとして、血漿レニン活性、心房性ナトリウム利尿ペプチド、バゾプレシンとし、同時に、血圧、脈拍数などの循環諸量も観察した。なお、ホルモンの測定はRIA法を用いて行った。 その結果、ストレスホルモンであるACTH、コルチゾールにおいて、術中、術後有意な変化は認められなかった。一方、私達は、前年度、静脈内鎮静法を併用せず歯科小手術を施行した高齢者群では、術中、ACTHが有意に上昇することをすでに報告している。したがって、高齢者においても、静脈内鎮静法の有用性が下垂体-副腎皮質系の面から証明された。また、血圧および体液調節に関与する体液調節系ホルモンに関しては、今回測定したホルモンにおいて術中、術後に有意な変化は認められず、恒常性が保たれていた。したがって、高齢者に対する静脈内鎮静法の安全性が体液調節系ホルモンの面からも証明された。
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