1993 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節症の発症機序に関与する関節およびその周囲組織の病態と生理に関する実験的研究
Project/Area Number |
04671248
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Research Institution | OSAKA DENTAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
覚道 健治 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (30131379)
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Keywords | 顎関節 / 滑膜 / 咬合異常 / 電顕 / 下顎運動 / 関節内圧 / 病態生理学 |
Research Abstract |
平成5年度の研究課題1.サルの臼歯欠損に伴う咬合咀嚼圧の加重負担が顎関節に及ぼす影響 実験材料として歯牙年齢M_2/M_2の雌カニクイザルを20頭使用した。無処置のものを対照群とし、両側上顎小臼歯および大臼歯を抜歯するとともに、両側下顎小臼歯および大臼歯の歯冠を歯頚部まで削合したものを実験群とした。対照群と、術後2、8、16および24週経過後の顎関節滑膜を摘出し、通法に従って電顕試料を作成した。術後2週では、滑膜表層細胞の脱落が観察された。術後8週では、滑膜表層細胞の脱落がみられたが、関節腔に面して2-3層の滑膜表層細胞が配列しているのが観察された。術後16週では、滑膜表層細胞の細胞間隙に未熟なコラーゲン線維が観察された。術後24週では細胞間空隙のコラーゲン線維は成熟するとともに増加していた。以上の結果から臼歯欠損に伴う咬合咀嚼圧の加重負担は、顎関節滑膜に影響を及ぼし、加重負担に対応して初期には滑膜の脱落の、また後期には滑膜の変性と線維化のそれぞれ生ずる事が明らかとなった。 平成5年度の研究課題2.下顎位および下顎運動の変化ならびに咀嚼運動の変化が顎関節内圧に及ぼす影響 顎関節疾患のない有歯顎成人男子(22歳-24歳)のボランティアを対象に、顎関節上関節腔内に20Gのテフロンカテーテルを留置後、圧トランスデューサ(P23XL:SPECTRAMED;USA)に接続し、下顎運動および下顎位の変化に伴う関節腔内圧(IAP)を測定した。検出されたIAP波形は増幅器(Bioview3000:NEC)を介して記録計(OMUNICORDER 8M34:Sanei)で連続記録した。下顎安静位におけるIAPを基準とした時、咬頭嵌合位で陽圧となり、同下顎位から前方突出運動を行わせるとIAPは低下し、前突位で陰圧となった。さらに、同下顎位から舞考運動を行わせるとIAPはさらに低下し、最大開口位でもっとも低値となった。また、最も陽圧となったのは、再後退位であった。以上の結果から、下顎運動により、顎関節構成体はポンプ作用をおこなっていることが判明した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 大竹,智子: "臼歯欠損が顎関節滑膜に及ぼす影響に関する電顕的研究" 日本口腔外科学会雑誌. 39(発表済み、雑誌未着). (1993)
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[Publications] 覚道,健治: "下顎運動および下顎位の変化に伴う顎関節腔内圧の変動" 日本口腔科学会雑誌. 43(発表予定). (1994)