1992 Fiscal Year Annual Research Report
新規肝発ガン性マイコトキシン、フモニシン、による食品汚染と生産菌分布の調査研究
Project/Area Number |
04671374
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
上野 芳夫 東京理科大学, 薬学部, 教授 (00084418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 敏嗣 神戸市環境保健研究所, 食品化学部, 副部長
川村 理 東京理科大学, 薬学部, 助手 (30204770)
杉浦 義紹 東京理科大学, 薬学部, 助手 (10196719)
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Keywords | フモニシン / カビ毒 / 飼料汚染 / 肝発ガン性 / トウモロコシ / フザリウム菌 |
Research Abstract |
フモニシンは植物病原真菌フザリウム・モニリフォルメの産生する二次代謝産物で、人の食道癌や肝臓癌との関連性が示唆され、現在最も注目されているカビ毒である。今年度はフモニシンの蛍光HPLC分析法を確立し、輸入家畜飼料および市販のトウモロコシ関連食品のフモニシン汚染を調べた。またわが国の圃場より分離した菌のフモニシン産生性も併せて検討した。フモニシンを蛍光分析するため、試薬と反応後得られた生成物の分析波長を分光蛍光光度計で調べ、励起波長を335nm、蛍光波長を450nmと決めた。抽出はメタノール‐水(3:1)で行い、分析方法を検討した。セップパック・アクセルQMAカートリッジがフモニシンB1(FB1)およびB2(FB2)の精製に適しており、添加回収率がそれぞれ97%および80%であった。確立したHPLC分析法で輸入飼料および市販食品の分析を行ったところ、輸入トウモロコシ9検体中8検体にFB1(0.6‐4.1ppm)、FB2(0,3‐10.2ppm)を検出し、家畜飼料用のグルテンフィードは供した6検体すべてにFB1(0.3‐2.4ppm)、3検体にFB2(0.8‐8.5ppm)を検出した。また市販のトウモロコシ関連食品では菓子、コーンスープや冷凍あるいは缶入りトウモロコシなど46検体からはフモニシンは検出されなかった。次にわが国の圃場から分離した同菌の4株のフモニシンの産生性を調べたところトウモロコシを基質にした培地ですべての菌株にFB1(0.6‐7.9ppm)およびFB2(0.2‐5.1ppm)の産生を認めた。また同時に行った米を基質にした培地では産生量は低かったが産生性を認めた。以上のことから、わが国にも家畜用飼料など輸入トウモロコシ類によるフモニシンの高濃度汚染が判明し、産生菌が存在することから、今後家畜への被害が懸念される。またさらに汚染実態を解明し、毒性・発ガン性を含め人への影響を検索することが必要である。
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Research Products
(1 results)