1993 Fiscal Year Annual Research Report
新規肝発ガン性マイコトキシン、フモニシン、による食品汚染と生産菌分布の調査研究
Project/Area Number |
04671374
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Research Institution | Science University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 芳夫 東京理科大学, 薬学部, 教授 (00084418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 敏嗣 神戸市環境保健研究所, 食品化学部, 副部長
川村 理 東京理科大学, 薬学部, 助手 (30204770)
杉浦 義紹 東京理科大学, 薬学部, 助手 (10196719)
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Keywords | フモニシンB1 / フモニシンB2 / トウモロコシ / 肝発ガン性 / ネパール / 中国 / タイ / マレーシア |
Research Abstract |
発癌プロモーター活性が明らかとなり、さらに動物実験から肝臓癌との関連性が示唆され、現在世界的に最も注目されているカビ毒であるフモニシンは、植物病原真菌Fusarium moniliformeの代謝産物である。本年度はアジア地域として、ネパール、中国、タイおよびマレーシアのトウモロコシおよび市販のトウモロコシ関連食品を集め、前年度に開発した蛍光HPLC分析法を用いてフモニシンの汚染を調べた。分析の結果、ネパールの試料24検体中12検体にフモニシンB1(FB1)が平均0.6ppm、7検体にB2(FB2)が平均1.6ppm検出され、陽性率が高かった。中国の試料は検体数が少なかったがFB1が平均6.8ppm、FB2が平均3.3ppm検出された。次にタイの試料では家畜飼料用のトウモロコシおよび市販のトウモロコシ36検体中16検体にFB1(0.3-1.8ppm),13検体にFB2(0.1-0.4ppm)を検出した。特にマーケットで販売されているトウモロコシ粉、グリッツ、コーン粒の汚染率が高いことが判明した。マレーシアの試料は少ない検体数ではあったが、FB1およびFB2を検出した(0.1-0.8ppm)。以上のことから、フモニシン汚染はアジア地域で幅広く認められ、特に市販のトウモロコシ関連食品に高頻度で検出されることが判明した。このことは、食生活を通じて発癌プロモーターであるフモニシンを摂取していることを意味するもので、今後その汚染濃度と発癌性との関係を早急に研究することが必要である。また家畜の飼料では一般にトウモロコシが主原料として使用されていることから、家畜等への影響も懸念される。フモニシンの毒性発現の機構はまだ不明であるが、フモニシンの分解も含めた毒性の研究が早い段階で必要である。
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