1993 Fiscal Year Annual Research Report
食物繊維による経口摂取RI標識発がん物質の体内吸収軽減効果-食物繊維による発がん物質の吸着機構の試験管内実験-
Project/Area Number |
04671397
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Research Institution | Kitasato University School of Hygienic Sciences |
Principal Investigator |
山本 一郎 北里大学, 衛生学部, 教授 (10050361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 弘子 北里大学, 衛生学部, 講師 (50129269)
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Keywords | 食物繊維 / 水溶性食物繊維 / 非水溶性食物繊維 / ポリデキストロース / セルロース / 生体内蓄積 / RI標識発がん物質 / N-[methyl-^<14>C]-nitrosodimethylamine |
Research Abstract |
食物繊維を多く含む海藻および海藻由来食品の発癌物質の排泄促進、吸収抑制効果は食物繊維と発癌物質の結合によるものではないことを平成4年度の研究計画で報告した。そこで当初の計画を変更して食物繊維の種類が異なるとその効果に違いが有るのかという点について検討した。 実験には市販されている非水溶性の食物繊維であるセルロースと水溶性の食物繊維であるポリデキストロースを用いた。動物実験では、2%セルロースとポリデキストロース粉末添加飼料をラットに与えた後、N-[methy-^<14>C]-nitrosodimethylamine(DMNA)を1回胃内投与して3時間後、24時間後に動物を解剖し、名臓器、血中、尿中の[^<14>C]含量をシンチレーションカウンターで測定し、DMNAの取り込み量を算出した。対照群のラットには標準飼料を与え、同様の実験をおこなった。ラットにおける標的臓器は肝であるため肝内への[^<14>C]の取り込みを調べた結果、各群間で差が認められなかった。 そこで動物の種類をマウスに変えて同様の実験を行った。結果は、非水溶性食物繊維であるセルロース、水溶性食物繊維であるポリデキストロースがともに発癌物質DMNAの吸収を抑制する効果をもち、さらにセルロースには糞便の増加によって起こる排泄促進効果もあることが確認された。これらの効果の違いは非水溶性、水溶性という性質が異なっていることで起こる。しかし、セルロース、ポリデキストロースの吸収抑制の作用機序に関しては、DMNAの主要吸収部位は小腸であるという報告から、食物繊維が小腸に停滞することで吸収阻害の作用を起こすのであろうという推測をした。
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