1992 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内蛋白質N未端プロセシングの分子機構の解明とその生理的役割
Project/Area Number |
04680162
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
綱澤 進 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教授 (30029962)
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Keywords | アシルアミノ酸遊離酵素 / アミノアシラーゼ / プロセシング / N-アセチルトランスフェラーゼ / アセチル化 / イニシェーター〓チオニン / 小細胞性肺がん |
Research Abstract |
当該年度では、細胞内蛋白質のN末端プロセシングに作用する酵素のうち、特にN末端のアセチル化および脱アセチル化に関与する酵素についてその分子特性を明らかにすべく研究をおこなった。N末端アセチル化には、現在基質特異性を異にする3種の酵素、NAT1、 NAT2およびNAT3の存在が報告されているが、NAT2(N末端がMet-ASP,Met-GluおよびMet-AS〓である場合、このMetをアセチル化する)について、パン酵母よりその精製を試み、分子景約60,000の蛋白質を得た。さらに、この蛋白質の一次構造を決定すべく、本蛋白質を酵素(プロテアーゼ)で断片化し、生成するペプチドのうち、12個のペプチドについて部分アミノ酸配列を決め、この情報を基にその遺伝子クローニングを進めている。より広い基質特異性を有すNAT1については、パン酵母を用いて発現系の構築を試みているが、この発現には、NAT1蛋白質のみならずARD1として知られている蛋白質の発現が必須であることがわかった。このARD1蛋白質が成熟NAT1蛋白質とどのような関係〜例えばサブユニット関係あるいは単にARD1が分子シャペロニンとして作用するか〜等については、今後の検討課題である。一方、脱アセチル化に作用する酵素には、アシルアミノ酸遊離酵素(AARE)とアミノアシラーゼ(ACY)があるが、AAREについては、質量分析法を用いて、その化学構造を完全に決定すると共に小分子化による活性断片の作成を行い、ACYについては、ブタおよびヒトの酵素について、クローニングおよび完全一次構造の決定を行った。今後は、両酵素の生理的役割〜特に小細胞性肺がんとの関わりについて研究を展開していく予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Mitta,Masamori: "The primary structure of porcine aminoacylase 1 deduced from cDNA sequence" Journal of Biochemistry. 112. 737-742 (1992)
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[Publications] Miyagi,Masaru: "Determination of the covalent structure of aminoacylase from porcine kidney by ion-spray ionization mass spectrometry" Journal of Protein Chemistry. 11. 378-379 (1992)
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[Publications] Tsunasawa,Susumu: "Does uncontrolled survial of acetylated peptides lead to cell psoliferation?" Journal of Laboratory and Clinical Medicine. 120. 505-506 (1992)
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[Publications] Fred Sherman: "Amino-terminal acetylation of altered form of yeast iso-1-cytochromes c in normal and natl-strains of yeast" Journal of Protein Chemistry. 11. 380-382 (1992)
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[Publications] Takakura,Hikaru: "NH_2-terminal acetylation of ribosamal proteins of Sacoharomyces cereviside" Journal of Biological Chemistry. 267. 5442-5445 (1992)
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[Publications] Tsunaswa,Susumu.: "The post-translational modification of proteins" Japan Scientific Societ,Press, 281 (1992)
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[Publications] 綱沢 進: "食品の生体調節機能の解析" 学会出版センター, (1992)