1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04680261
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
井口 義夫 帝京大学, 理工学部, 助教授 (60092144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶谷 正行 帝京大学, 理工学部, 助手 (40233720)
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Keywords | アンチセンスRNA / RNAファージSP / A2遺伝子 / PCR / 溶菌遺伝子 |
Research Abstract |
A2蛋白質は大腸菌RNAファージ粒子の外殻を構成する蛋白質の一種であるが、SPファージに近縁のQbetaファージではA2蛋白質の過剰生産が溶菌を引き起こすことが知られている。同蛋白質のSPファージ感染における役割を検討するために、SPファージのA2遺伝子をcDNAクローン化し、プラスミド上で大腸菌のlacプロモーターあるいはlambdaファージのcroプロモータに連結した。IPTG添加(lacプロモーター)あるいは温度シフト(croプロモーター)によりA2蛋白質を誘導産生すると、いずれの場合も溶菌は生じなかったが、後者のばあい場合には大腸菌の増殖がかなり抑制された。従って、A2蛋白質の過剰生産が細胞増殖を阻害することが示唆された。さらに、SPファージのA2遺伝子を標的としたアンチセンスRNA発現クローンを用いて、ファージ感染過程における同遺伝子の役割を検討した。アンチセンスRNA発現菌ではファージ感染に伴う溶菌は抑制されたが、細胞内での感染性ファージ粒子の形成は阻害されなかった。以上のことから、A2遺伝子が溶菌に関与していることが推察されたが、A2蛋白質が溶菌蛋白質であるとは断定できなかった。しかしながら、SPファージ感染におけるA2蛋白質の二面性が明らかになった。また、細胞外への子ファージ放出時期と溶菌時期が離れていることから、A2蛋白質以外の因子も溶菌に関与している可能性が示唆された。一方、ファージ非感染菌から全RNAを調製し、A2遺伝子の塩基配列をプライマーにして逆転写酵素を用いてPCRを行ったところ、一定長のDNAが増幅された。このDNAをクローニングして塩基配列を解析すると、A2cDNAの配列に類似していた。従って、大腸菌染色体上にもSPファージA2遺伝子に似た構造が存在することが推察された。
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[Publications] Kajitani,M.,Kato,A,Wada,A.Inokuchi,Y.and Ishihama,A.: "Regulation of the Escherichia coli hfq gene encoding the host factor for phage QB" Jonrnal of Bacteriology. 176. 531-534 (1994)
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[Publications] 井口義夫: "RNAファージのゲノム構造" 蛋白質核酸酵素. 37. 2474-2477 (1992)
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[Publications] 井口義夫: "RNAファージの複製と遺伝子発現" 蛋白質核酸酵素. 37. 2677-2682 (1992)
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[Publications] 梶谷正行: "RNAファージ宿主因子" 蛋白質核酸酵素. 37. 2805-2812 (1992)