1992 Fiscal Year Annual Research Report
ヤマネコ類の社会維持機構の解明-とくにテリトリー獲得過程における雌雄差による分析-
Project/Area Number |
04804051
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
伊澤 雅子 琉球大学, 理学部, 助教授 (10192478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土肥 昭夫 九州大学, 理学部, 助手 (80091247)
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Keywords | イリオモテヤマネコ / 行動圏の獲得過程 / 行動圏の継承過程 / 雌雄差 / 仔の分散過程 / 社会維持機構 |
Research Abstract |
本年度は、イリオモテヤマネコについて行動圏の獲得・継承過程とその性差についての野外調査を行なう目的で、西表島東部においてイリオモテヤマネコの5個体に、西部において4個体に発信機を装着し、テレメトリー法によって行動圏に関する基礎資料を収集した。行動圏とその利用様式の変化について、性差及び地域差を分析・検討中である。さらに、発信機を装着した雌2個体が出産したと思われ、妊娠以前(繁殖期を含む)、妊娠期、育児期、仔の分散以後の母ネコの行動圏利用様式の変化について連続した資料が得られた。これらの個体については、これまで他の数種の哺乳類の研究例で報告されたような仔の保護と授乳に関わる顕著な行動の変化が認められなかった。即ち、予想された、仔の保護のための巣穴の確立や授乳のための頻繁な訪問による行動圏のサイズや利用様式の片寄り、活動性の変化などが認められなかった。これは、イリオモテヤマネコの産仔数、巣穴安定性、仔の成長に伴う行動の変化の様相等の要因と関連するものと考えられ、今後それらに関する資料の収集と他種との比較が課題となる。また、亜成獣1頭に発信機を装着した。現在行動圏は安定して、分散以前の状態と考えられる。成長に伴う行動圏の変化、分散の時期・様式について資料を収集していく計画である。 さらに捕獲作業も継続中であり、対象個体を増やしていく計画である。また、次年度に継続して行動圏の安定性や各個体の定住性などについての調査を進める。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 伊澤 雅子: "イリオモテヤマネコ・ツシマヤマネコ保護対策の現状" 哺乳類科学. 31. 15-22 (1991)
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[Publications] IZAWA,M.: "Ecological study on the two species of Felidae in Japan" In“Wildlife Conservation". 141-143 (1991)
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[Publications] IZAWA,M.: "Flexibility of the social system of the feral cat,Felis catus" In“Animal Societies;Individuals,Interactions and Organization".