1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04805009
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
小早川 命 龍谷大学, 理工学部, 教授 (50026332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 善彦 京都大学, 工学部, 教務職員 (00162123)
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Keywords | 翼の空力特性 / 境界層制御 / 失速特性 / 粘性抵抗 |
Research Abstract |
まず、実験としてはポリフッ化ビニリデン(3フッ化エチレンの共重合体の高分子フィルム(PVDF))に高電界を印加して分極の向きを反転することによりフィルムを微小振動させ、境界層を制御することを試みた。具体的にはPVDFを翼模型表面に張り付け、矩形波電界を印加して微小振動を発生させることにより、翼表面上の境界層に運動エネルギを与えて翼面よりの剥離を遅らせるとともに、粘性による表面摩擦低抗を軽減しようとするものである。風洞実験をおこない、NACAOO12の2次元翼の空力特性を調べた。すなわち、低乱風洞において、翼の迎角および風速を変化させ、揚力、抗力およびピッチングモーメントを測定した。その結果、失速迎角が大きくなることを確認した。また、その時の最大揚力係数も増加し、抗力の急激な増加もおさえられることを発見した。たゞ、レイノルズ数や振動数などのパラメタがどのように関係しているかを調べることは来年度の課題として残っている。 次に、数値計算としてはNACAOO12翼型まわりの流れをナヴィエ・ストークスの方程式を解くことによって調べた。方法としては、近似因数分解を用いた陰解法を用いた。計算条件は実験と同じにし、代数的乱流モデルを用いた。計算の結果、先速迎角において表面を振動させると、翼上面から放出される渦が小さくなり、揚力の落ち込みが緩和されることがわかった。ただ、最大揚力係数は増加せず、実験とは異っている。これは乱流モデルに問題があると見られ、改良の余地がある。 以上の結果はIUTAMシンポジウム「高迎角の流体力学」(1992年9月東京大学)において発表された。
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