1993 Fiscal Year Annual Research Report
新しいパルプ漂白剤としての過マンガン酸カリウムの応用とその機能
Project/Area Number |
04806023
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小島 康夫 北海道大学, 農学部, 助手 (90161918)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 寛 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (00003096)
|
Keywords | 過マンガン酸カリウム / リグニンモデル / セルロースモデル |
Research Abstract |
平成4年度までに、過マンガン酸カリウムがKPの漂白剤として充分適用すると判断できる結果を得た。平成5年度では漂白処理条件の精査、反応機構などについて検討を行い、以下の結果を得た。 1.リグニンモデル化合物と過マンガン酸カリウムとの反応について 1)遊離フェノールを有する化合物では、芳香核のメトキシル置換が多いものほど反応性が高いこと、pH3-10の範囲では反応性が低くなること、芳香核の解裂が容易に生じていることが明らかにされた。 2)エーテル化された非遊離フェノールを有する化合物では、遊離フェノール型化合物より反応性が高いものの、側鎖1位の酸化で反応が停止し、芳香核の解裂はほとんど認められなかった。また、この場合、酸性条件よりも中性からアルカリ性の条件の方が反応性は高いことが示された。 3)モデル化合物の化学構造に関わりなく、モデル化合物1モルに対して過マンガン酸カリウムは2-2.2倍モルが消費された。 2.セルロースモデルと過マンガン酸カリウムとの反応 1)還元性末端基を有する糖(グルコース、セロビオース等)は還元性末端基を持たない糖(4-メチルグルコース等)よりも反応性が高い。 2)メチル-β-D-グルコースと過マンガン酸カリウムとの反応で、グルコシド結合の解裂、6位の酸化等を受けた反応物が単離同定された。また、反応混合物のC13NMRスペクトルからC2位からC4位のどこかにカルボニル基の生成が生じていることが示された。 3.モデル化合物の実験から、過マンガン酸カリウム漂白におけるシュウ酸添加の有利性が示されたが、パルプを用いた実験では明確な利点は認められなかった。
|