1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04807093
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
松浦 弘 島根医科大学, 医学部, 講師 (80157247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 輝久 島根医科大学, 医学部, 教授 (10038656)
久保田 博文 島根医科大学, 医学部, 助手 (00205147)
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Keywords | プラキチン / CDDP / キチン / VX2 / 化学塞栓療法 / 動脈内投与 |
Research Abstract |
CDDPにカニの甲羅から精製したキチンを結合させ、生体内での徐放性をもたせた制癌剤プラキチンを開発し、その徐放性と局所投与した場合の制癌効果について研究してきた。今回、プラキチンを動脈内に注入する化学塞栓療法を行ない、その抗腫瘍効果を検討した。 【実験材料及び方法】プラキチンの剤形は約50μ径の粉末状とし、1g中にCDDPが300mg含まれるようにした。雌家兎(2-3kg)を4群に分け、下腿にVX2腫瘍を移植し、腫瘍径が2cm以上になったところで腫瘍の栄養動脈である大腿動脈より26G針を用いて10mlの生食水に混和した各薬剤を1分かけて注入した。第1群:プラキチン3mg/kg(CDDPとして0.9mg/kg)(N=5),第2群:CDDP1.8mg/kg(N=3),第3群:キチン(プラキチンと同様の50μ径の粉末)3mg/kg(N=5),第4群:コントロール(生食水)(N=5)である。経時的に腫瘍径を計測して、推定重量(長径×(短径)^2/2)を求め、14日目までの腫瘍増殖曲線を推定重量と投与前重量との比で表して、各群間で比較した。 【結果】投与前の腫瘍推定重量は、各群間に差はなかった。腫瘍増殖比は投与後7日目ではプラキチン群0.14±0.7(mean±SD),CDDP群1.50±1.12,キチン群3.05±1.69,コントロール群6.11±4.11であり、14日目では、プラキチン群0.29±0.61,CDDP群2.52±0.70,キチン群:4.71±3.63,コントロール群11.32±7.83であった。ともにプラキチン群と他群間に有意差を認めた(p<0.05)。 以上の結果より、プラキチンの動脈内投与による化学塞栓療法によって抗腫瘍効果がみられることを明らかにした。
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