1994 Fiscal Year Annual Research Report
一過性の運動によるストレス低減効果に関する心理生理学的研究
Project/Area Number |
04808019
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
橋本 公雄 九州大学, 健康科学センター, 助教授 (90106047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高柳 茂美 九州大学, 健康科学センター, 助手 (80216796)
徳永 幹雄 九州大学, 健康科学センター, 教授 (90038464)
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Keywords | 快適自己ペース走 / 感情の変化 / MCL(Mood Check List)尺度 / 精神的健康パターン / 短期的運動 / ストレス低減 / 心理生理学的研究 |
Research Abstract |
身体運動による心理的なストレス低減効果を明かにするため、快適と自覚する自己ペースという運動強度のランニング(快適自己ペース走)を用いて、快、リラックス、満足感などのポジティブな感情の変化過程ならびに感情の変化を規定する要因の分析を行った。 快適自己ペースという運動強度は50〜60%Vo_2max強度に相当し、無酸素性作業閾値(AT:Anaerobic Threshold)が関与していることが明らかにされた。しかし、運動者の心理的特性つまり、積極的な特性や冠動脈疾患のリスクファクターの1つといわれるタイプA行動パターンを有する者は快適自己ペースの運動強度が高くなる傾向がみられた。 ポジティブな感情は運動開始5分後には有意な増加を示し、快感情、満足感、リラックス感には時間的変化のずれがみられ、快感情や満足感は運動直後に増加ピークを示すのに対し、リラックス感は回復期(30分後)に増加のピークがあることが明かにされた。このことから、感情の成分によって運動による影響のメカニズムが異なることが示唆された。 また、運動によって増加した感情は少なくとも60分間は持続し、気分の高揚や安定感が得られることが明かにされた。 さらには、快感情やリラックス感の増加に特定不安やタイプA行動パターンが関与し、不安特性の高い者やタイプA行動パターンを有する者に効果があることが示唆された。 本研究を進める過程でメンタルヘルスの状態を測定する尺度、つまり、「はつらつ型」「ゆうゆう型」「ふうふう型」「へとへと型」の4つのパターンに分類される精神的健康パターン診断検査(MHP:Memtal Health Pattern)を作成した。
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[Publications] 橋本 公雄他4名: "快適自己ペース走による感情の変化に影響する要因-ジョギングの好き嫌いについて" スポーツ心理学研究. 20. 5-12 (1993)
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[Publications] 斉藤 篤司・橋本 公雄他1名: "運動による心理的「快」の生理的裏づけと運動処方への応用の検討" 体力研究. 85. 146-154 (1994)
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[Publications] 橋本 公雄他4名: "快適自己ペース走の再現性の検討" 健康科学. 16. 57-63 (1994)
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[Publications] 橋本 公雄他1名: "感情の3次元構造論に基づく身体運動特有の感情尺度の作成-MCL-3尺度の信頼性と妥当性" 健康科学. 17. 43-50 (1995)
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[Publications] 橋本 公雄他4名: "快適自己ペース走による感情の変化と運動強度" 健康科学. 17. 131-140 (1995)
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[Publications] 橋本 公雄他4名: "快適自己ペース走時の運動強度を規定する生理心理学的要因" 健康科学. 17. 141-150 (1995)
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[Publications] 九州大学健康科学センター編: "健康と運動の科学" 大修館, 97-98の△ 101-103の△ 108-113 (1993)