1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05041018
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
関根 孝夫 東海大学, 文学部, 教授 (70119684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮原 俊一 東海大学, 大学院・史学研究科, 院生
田尾 誠敏 東海大学, 文学部, 助手 (90216599)
織笠 昭 東海大学, 文学部, 助教授 (90194646)
金原 保夫 東海大学, 文学部, 助教授 (20161614)
禿 仁志 東海大学, 文学部, 助教授 (10186009)
近藤 英夫 東海大学, 文学部, 教授 (70119676)
鈴木 八司 東海大学, 文学部, 教授 (10055692)
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Keywords | ブルガリア / トラキア平野 / 考古学 / 発掘 / 青銅器時代 / 集落 / テル遺跡 / カマド |
Research Abstract |
1993年度のブルガリア国デャドヴォ遺跡発掘は8月23日(月)から9月15日(水)までの24日間にわたって実施された。調査面積は約300cm^2である。調査された遺構は中期青銅器時代に属する住居址3軒,カマド址23基,ピトス(貯蔵施設)6基,及び中世に属する大型ピット(貯蔵穴転用のゴミ穴)1基,その他である。これらの調査に伴って検出された登録遺物(ブルガリア側との協定により固別番号を登録して引き渡した特殊遺物)は100点以上を数えた。これらは現地において実測,写真撮影された。以上今年度の調査によって明かとされた遺構,遺物の数量は,例年に比し約3割ほど多量となった。これは今年度の調査が上層(中世)からの撹乱の及ばない層位まで及んだことを意味し,青銅器時代集落の発掘とその分析を主要研究テーマとする本調査団にとって次年度以降の調査が大いに期待される。今年度の調査で最大の成果は過去7次の調査で僅か3軒(その内内容がわかるものは1軒)しか調査例のなかった住居址が今年度の調査で新たに3軒明らかとなり,それぞれの配置を通じてトラキア平野青銅器時代集落のイメージの一端を伺うことができたことである。また住居の一隅に付設されていた一例の埋甕は当時の生活,あるいは信仰の一端を想起させ,興味深いものがある。本年度も調査の主体はカマド址の調査であった。これらの多くは本来住居内に付設されていたものと思われるが,本年調査された径2m前後の大型カマド数基は個別の住居には付属せず,特定集団の共用カマドであった可能性が高く,当時の社会構造を探る上で重要な資料となるものである。その他ピトス中から検出された多数の炭化穀粒は当時の生産基盤を明らかにするものとして重要である。過去1例検出されただけの青銅製品が新たに2点追加されたことも本年度の調査成果である。また調査に関して例年通りブルガリア側との協議会の開催,周辺遺跡の踏査,博物館資料の調査等を積極的に行った。
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Research Products
(1 results)