1993 Fiscal Year Annual Research Report
中央ユーラシア諸民族の文化基層に関する国際比較研究
Project/Area Number |
05041020
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
梅村 坦 中央大学, 総合政策学部, 教授 (90124289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
章 瑩 新疆社会科学院, 中亜研究所, 助理研究員
阿吉努 爾阿吉 新疆社会科学院, 副研究員
森川 哲雄 九州大学, 教養部, 教授 (50101275)
細谷 良夫 東北学院大学, 教養学部, 教授 (50042164)
新免 康 東京外国語大学アジア, アフリカ言語文化研究所, 助手 (10235781)
小松 久男 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (30138622)
楠木 賢道 大分県立芸術文化短期大学, 専任講師 (50234430)
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Keywords | 遊牧文化 / 都市農村文化 / 歴史的遺物 / 内陸流通経済 / 宗教復興 / イスラーム |
Research Abstract |
本計画の初年度は,中国のなかで,中央ユーラシアを構成する三地域を調査の対象とした。それは,東からみて,東北地区(黒龍江省・遼寧省),内蒙古自治区,新疆維吾爾自治区である。それぞれは古代以来の大きな歴史・文化の流れからみれば地理的・民族構成面で連続する側面をもつ一方,中世期以後の民族移動や近現代の国際環境の変化により,民族分布・宗教・言語の流動性が限定され,現在の中国領域内の固有の特色をもった三地域となった。調査の際には,歴史的文化遺産と現実社会との関連に注意をはらった。 以上の背景と視点をふまえ,より広い中央ユーラシア諸民族文化の解析にも適用できる要素を各地域の特殊性に留意しながら抽出し,共通する文化基層と現状との対比をおこなった。特殊性は,たとえば満洲語文献,モンゴル語文献,テュルク語・イスラーム古文物の調査およびシャマニズムをはじめとする民間信仰,仏教,イスラームの遍在性の調査によって確認された。また,共通性については,当初設定した「都市・農村・牧区」という自然・社会的環境をいかに有機的に結んで現在の社会・文化が構成されてきたかを,とくに内陸の交通と流通経済の発展を観察することによって明らかにできた。相互の宗教事情の比較調査は,なお次年度以降にもおこなう。 三地域における調査のその他の具体的な点をあげておく。東北地区における満洲族の諸遺跡の調査は,「将軍塚」の確定や,オロチョン族・ダフ-ル族など少数民族の面接調査による新知見の拡大などの成果を得た。内蒙古地区では中国化しつつあるモンゴル遊牧民の生活の中で,チベット仏教の復活の兆しをみることができ,将来の問題として留意された。新疆地区でも中国化の進展の一方,旧ソ連地域との国境貿易が進む状況のなかで,遊牧社会の新たな経済的位置づけを調査できたほか,古代遊牧文化遺跡の「新発見」も大きな成果であった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 細谷良夫: "烏真超哈(八旗漢軍)の固山(旗)" 松村潤先生古稀記念清代史論叢. 165-182 (1994)
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[Publications] 楠木賢道: "チチハル駐防シボ佐領の編立過程" 清朝の統治・行政をめぐる諸問題. (予定).
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[Publications] 梅村坦: "遊牧民と定居社会-新疆の事例を中心に-" 国立民族学博物館研究報告. (予定).