1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05041046
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Research Institution | Tokyo Seitoku College |
Principal Investigator |
大橋 久利 東京成徳短期大学, 文科英文専攻, 教授 (70213832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
OUK Sunheng 文化省, 遺跡局保存研究部, 課長
MOM Chim Huy 教育省, 長官
SORN Samnang プノンペン大学, 歴史学部・学部長, 教授
三上 直光 慶應義塾大学, 言語文化研究所, 専任講師 (90165978)
林 行夫 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (60208634)
糸賀 滋 アジア経済研究所, 経済協力調査室, 主任調査研究員
真貝 義五郎 松蔭女子学院大学, 一般教育学科, 教授 (70179068)
土屋 圭造 流通経済大学, 大学院経済学研究科・研究科長, 教授 (60038164)
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Keywords | カンボジア / 和平過程 / 憲法制定過程 / ベトナム人 / 文学 / 経済動向 / 仏教 / 言語 |
Research Abstract |
5年度の現地学術調査は7月20日から約1カ月間実施された。戦後初の総合調査であっただけに信頼に足る資料も乏しく困難をきわめたが,プノンペン大学側の全面協力で,各研究分担者とも予想以上の成果を上げることができた。 大橋(和平過程の研究)は制憲議会選挙の施行過程,憲法制定過程をほぼ同時進行の形で分析した。また,カンボジアで初めて500人政治意識調査を実施することに成功した。真貝(小数民族としてのベトナム人)は乏しい資料をかき集めてその歴史的概観を行ない,プノンペン周辺での予備調査を終えた。 糸賀(経済動向)はプノンペン大学,大蔵省,UNTAC,投資委員会などでの聞取り調査から,なお混乱する経済の動きを初期的ながら把握した。三上(言語生活の実態調査)はロン・ノル時代,ポル・ポト時代,人民党時代,そして市場経済時代と短期間に激変したカンボジア社会で,言語がどのように誕生,消滅したかについて,まず新聞,教科書などの印刷物からの調査を終えた。 林(カンボジア上座仏教の概況)は寺院やその周辺の聞取りを中心に仏教サンガ組織の実態,出家行動と僧侶の日常活動などを調査し,成果を上げた。土屋(農業経済)はこの国の基幹産業である稲作に照準を合わせ,今年度は国内での文献調査を進めた。和泉(カンボジア文学史と現代文学の動向)はアンコールワット時代の碑文から恋愛小説,ブラ-マニズム,そして現代の自由な小説への文学収集,文学史編成という野心的な作業を開始した。 こうして,戦後初のカンボジア総合調査は成功裏にスタートした。プノンペン大学,関係各省庁との連携作業も軌道に乗りはじめており,6年度は各部門で大きな成果を確信している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 大橋 久利: "カンボジア“王国"はどこへ行く" 週刊エコノミスト. 10月12日号. 56-59 (1993)
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[Publications] 大橋 久利: "シアヌ-ク王国とポル・ポト派の行方" アジア時報. 12月号. 20-46 (1993)
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[Publications] 大橋 久利: "UNTAC総決算" 新真. 10月号. 22-29 (1993)
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[Publications] 大橋 久利: "カンボジアにおける和平過程の研究(下)" 東京成徳短期大学紀要. 第27巻. 9-27 (1993)
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[Publications] 和泉 模久: "カンボジア語旅行会話" 光星社, 90 (1994)