1993 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおける植物寄生性微小節足動物に関する研究
Project/Area Number |
05041078
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高木 貞夫 北海道大学, 農学部, 教授 (70001427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
IRNEO L.Lit フイリピン大学, 自然史博物館, 講師
駒井 古実 大阪芸術大学, 芸術学部, 講師 (30186788)
久万田 敏夫 北海道大学, 農学部, 助教授 (50001425)
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Keywords | 昆虫分類学 / 形態進化 / 植物寄生性昆虫 / カイガラムシ類 / 潜葉性小蛾類 / ハマキガ類 / アザミウマ類 / フイリピン |
Research Abstract |
今回の調査で得られた資料は次の通りである。 カイガラムシ上科。148点、約100種。大部分はDiaspididaeで、東南アジアに共通する属と若干の新属を含む。新属の中にはこの科における形態進化の一趨勢の過程、あるいは極めて新奇な方向への進化を暗示する複数の属があり、この科の進化・分類の研究に重要な資料である。 総翅目。約100チューブ、約60種。約65種の植物から得られたものの他、枯葉から得られた食菌性と想定される種若干を含む。これらは2亜目3科にわたる30を超す属に所属し、予備的な調査では広域分布をする種がかなりの割合でみられる。 ハマキガ科。現地で得られた91頭に加え、持ち帰った生資料より羽化したものを加えて約130頭の成虫、約40種。大部分はフィリピンのファウナに新しい種であり、若干の新種を含む。尚、温帯で有効性が確認されているフェロモン・トラップを数箇所で試みたが、成虫の飛翔が認められたにもかかわらず、無効であった。これは熱帯での最初の試行であり、問題を提起するものである。 潜葉性小蛾類。187点の潜葉資料から羽化した約450の成虫標本。潜葉資料の約三分の一は寄生等により羽化に成功していない。全体としてマレイシア、とくにサバ-のファウナに近似した種構成を示す。 資料は現在研究中であり、順次出版発表される。いずれの昆虫群もパラワン島においては従来全くまたは殆ど調査がなく、学術上極めて貴重な資料である。
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