1993 Fiscal Year Annual Research Report
日本昆虫相の多様性の起源と中国との相関に関する研究
Project/Area Number |
05041099
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
嶌 洪 九州大学, 教養部, 教授 (70038280)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
董 大志 中国科学院, 昆明動物研究所, 助理研究員
梁 醒財 中国科学院, 昆明動物研究所, 助理研究員
李 昌廉 中国科学院, 昆明動物研究所, 副教授
金沢 至 大阪市立自然史博物館, 学芸員 (10169542)
櫻井 一彦 成城短期大学, 教養科, 助教授 (80259118)
中西 明徳 姫路工大, 自然環境研究所, 教授 (40038469)
内藤 親彦 神戸大学, 農学部, 教授 (70031226)
|
Keywords | 昆虫相 / 系統進化 / 生態、行動 / オトシブミ類 / チョウ・ガ類 / ハバチ類 / ヤドリバエ類 |
Research Abstract |
平成5年度の調査によって、全般的にいえば、四川省と日本の昆虫相が極めて類似していることを示す多くの新しい資料が得られた。個別の研究項目の実績は、次の通りである。 1.オトシブミ類は、数種についてゆりかご形成行動の詳細な観察や記録をとり、またゆりかごの形状の詳細な調査を行なった。また、日本では照葉樹林帯に多く見られる種の近縁種が、四川省では暖温帯よりは冷温帯に多く見られたのは、興味深い結果であった。 2.チョウ類は成虫約1800頭が得られた。Pseuderigolis weldahの幼生期の生態、形態について、今回初めて詳細な情報が得られた。また、ドリスサカハチチョウ、イクステンサシロチョウの全幼生期についても今回初めて資料を得ることができた。 3.ガ類は約2400頭の成虫が得られた。これにより、日本と同種とされている日華区系のウスバツバメガやイボタガなどの成虫の発生時期がかなり異なることが判明し、形態に加え生態面の検討が今後必要であることがわかった。小蛾類には未記録・未記載種が多数含まれ、研究を進めている。 4.寄生性のハエ類は、ハバチ類の寄生者が多数得られた。これはハバチ幼虫の発生期に当たったためで、ハバチ相とその寄生者相の種構成の相関を研究することによって、寄生性昆虫類の系統進化について新しい知見が得られるものと考えられる。成虫は約2,000個体150種ほどが得られている。 5.ハバチ類は、新種多数を含む3科205種960頭が採集され、約60種について染色体プレパラートを作成した。また、ハバチの交尾行動について、特に性フェロモンの有無について実験と直接観察を行ない、日本産の近似種と類似した行動が観察された。
|
Research Products
(10 results)
-
[Publications] Shima,Hiroshi: "The genus Dexiomimops(Diptera,Tachinidae):Systematics and biogeography." Japanese Journal of Entomology. 62(予定). (1994)
-
[Publications] Naito,Tikahiko: "A revision of the sawfly genus Conaspidia(Hymenoptera,Tenthredinidae)." Japanese Journal of Entomology. 62(予定). (1994)
-
[Publications] Nakanishi,A.& C.Li: "Early stages of Pseudergolis wedah Koll(Lepidoptera,Nymphalida)." Human and Nature. 4(予定). (1994)
-
[Publications] Nakanishi,A.& C.Li: "Descriptions of immature stages of several nymphalid butterflies with biological notes from Sichuan,China" Journal of the Lepidopterists Society. 48(予定). (1995)
-
[Publications] Sakurai,K.& X.-c.Liang: "The cradle formation behaviour of a Chinese attelabid weevil,Chonostropheus sp.in comparison with C.chujoi." Journal of Insect Behaviour. 8(予定). (1995)
-
[Publications] Liang X.-c.& K.Sakurai: "The distribution of attelabine weevils and their host plants in southwest China.(1)Dali District" Japanese Journal of Entomology. 63(予定). (1995)
-
[Publications] 金沢至,劉友樵,梁醒財.: "中国四川省の蛾類(I)" 第54 日本昆虫学会・応用動物昆虫学会第38回大会合同大会講演要旨. 25-26 (1994)
-
[Publications] Kanazawa,I.,Y.Liu & X.Liang: "Moths of Sichuan Sheng in China(1):Stenolechia-group of Gelechiidae." Japanese Journal of Entomology(予定). 62. (1994)
-
[Publications] 董大志,大塚公雄: "中国南部狭腹胡蜂生態学与地理分布研究(膜翅目、胡蜂総科)" 動物学研究(昆明). 14(投稿中). (1994)
-
[Publications] Dong,D.& K.Otsuka: "A new genus and species of Stenogastrinae(Hymenoptera,Vespoidea)from Yunnan,China." Japanese Journal of Entomology. 62(予定). (1994)