Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
洪 〓植 市立釜山博物館, 助教
金 正完 国立扶余博物館, 室長
安 在晧 東国大学, 史学科, 助教授
申 敬〓 慶星大学, 史学科, 助教授
中園 聡 九州大学, 文学部, 助手 (90243865)
長友 恒人 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (80031582)
脇田 宗孝 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (10109118)
中村 浩 大谷女子大学, 文学部, 教授 (10121873)
北野 耕平 神戸商船大学, 商船学部, 教授 (80031433)
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Research Abstract |
初年度は洛東江上流地域の伽耶諸国の窯跡出土陶質土器片を採集し,蛍光X線分析法によって胎土分析し,K,Ca,Rb,Srの長石系4因子を使って,これら窯間の相互識別,さらに,大阪陶邑群との相互識別の可能性を検討した。 伽耶諸国の窯としては高霊の内谷洞窯,陝川の播湲堤窯,尚寧の余草里窯が研究対象となった。2群間判別分析によるデータ解析により,伽耶諸国の陶質土器と大阪陶邑産の須恵器の相互識別は十分可能であることがわかった。 この結果を活用して,畿内の遺跡から出土している陶質土器が朝鮮半島から搬入されたものであるかどうかが調べられた。その結果,大庭寺遺跡,狐池南遺跡から出土した陶質土器は実は陶邑産の須恵器であることが判別した。朝鮮半島から渡来した工人集団が陶邑で作った,外見上は陶質土器にみえる須恵器が存在することが証明された。この他,小阪遺跡,石戈南遺跡,讃良条里遺跡など,多くの遺跡からこのタイプの須恵器が出土していることも立証された。この結果はきわめて重要である。考古学的形式観察で区別し得なかったこのタイプの須恵器が全国各地の古墳へ供給されている可能性があるからである。 他方,今回得られた基礎データを使い,高霊の豪族の墳墓とみられる池山洞古墳群,本館洞古墳群に地元,内谷洞窯の陶質土器が検出された。このことは当然の結果である。ところが,内谷洞窯の陶質土器は他の伽耶諸国の墳墓からも出土するのである。このことは伽耶連合の存在を示しているのではなかろうか。この点について,引き続いて次年度も検討を進める。 今年度得られた結果は平成6年6月11日,昭和女子大で開催される日本文化財科学会で発表される予定であり,さらに,引き続いて,その学会誌,考古学と自然科学に投稿の予定である。
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