1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05044065
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
小野 延雄 国立極地研究所, 教授企画調整官 (40001648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KVAMBEKK Anu ノルウェー極地研究所, 海洋気象研究員
KORSNES Rein ノルウェー極地研究所, プロジェクトマネージ
FORSBERG Car ノルウェー極地研究所, 海洋地質研究員
VINJE Torgny ノルウェー極地研究所, 地球物理学部門, 主任研究官
小西 啓之 大阪教育大学, 教育学部, 助手 (70178292)
森本 真司 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 助手 (30270424)
兒玉 裕二 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (70186708)
石川 信敬 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (70002277)
工藤 栄 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 助手 (40221931)
伊藤 一 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 助教授 (80232461)
青木 周司 国立極地研究所, 研究系, 助手 (00183129)
和田 誠 国立極地研究所, 研究系, 助手 (40132716)
山内 恭 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 教授 (00141995)
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Keywords | 北極層雲 / フィヨルド / プランクトン藻類 / 海洋構造 / 海中二酸化炭素分圧 / 海氷融解期 / 放射収支 / 北極気団 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、スバールバル諸島のニーオルスンで、北極層雲、大気微量成分、フィヨルド海洋構造・融雪氷流入等の観測を実施するとともに、ノルウェー船にて、グリーンランド海北部における海洋観測を行った。 雲・降水については、マイクロ波放射計と垂直レーダの観測を継続している。レーダエコーの出現頻度は平均40%と、通年余り大きく変らないのに対し、目視による観測では、夏8-9月に雲量多く、冬12〜1月少い結果となっている。エコーの出ない粒径の小さい雲が多いという夏季北極層雲の特徴が明らかになった。さらに、今年度は極夜期のエアロゾル・雲・降水の集中観測も実施し、低いエコーからの降水が認められ、低温域に特徴的な雪の成長機構が示唆された。ニーオルスンでの長年の放射収支観測データの解析を行い、夏は地表面に雪がなく、雲が多く変動の少ない放射収支であるが、日射のない冬は、長波長放射が大きく変動し、北極気団と湿潤で温暖な海洋性気団の影響の違いであることが明らかになった。 コングスフィヨルドにて、春季の海氷融解直後の海洋鉛直構造と海洋基礎生産生物の野外調査を実施。海洋表層における基礎生産生物量は開水面出現直後に最大に達すること、この時期には、すでに水深20m〜100mに低温層が顕著に発達し、表層の高温・低塩分層、深層の高温・高塩分層が鉛直混合しにくくなっていることが観測された。さらに、融解水の河川からの流入、融雪のメカニズム等の観測も合せて実施した。 グリーンランド海では、4〜5月、氷縁近くでの海洋構造と二酸化炭素交換の観測を実施した。この結果昨年度までとは異って、海水中二酸化炭素分圧が前半には高く(それでも大気に比低い)、途中から急激に低下する現象を捉えた。日射量増大に伴う海水中生物活動の活発化と対応する変化と考えられる。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] Kudo,S.: "Characteristics of sea ice algal community and primary production in Saroma Ko lagoon and Resolute Passage,1992." Proc. NIPR Symp. Polar Biology. 8. 54-56 (1994)
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[Publications] Kudo,S.: "Temperature-dependent changes in colony size of the freshwater pennate diatom Asterionella formosa(Bacillariophyceae) and their possible Ecological imprications." J. Phycology. 30. 955-964 (1994)
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[Publications] Kudo,S.: "Arctic Ocean Ecosystem-Some characteristics of environment and primary producer-" Japanese J. Ecology. 44. 115-124 (1994)
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[Publications] Ushio,S: "Temperature Profiles of the Greenland Sea in he Summer of 1992: Report of the Oceanographic Observation on the R/V Lance Cruise." Antarct. Rec.38-1. 63-67 (1994)
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[Publications] Ushio,S: "Water structure in Kongsfjorden,Spitsbergen in 1991-1993." Proc. NIPR Symp. Polar Meteorol. Glaciol.8. 190 (1994)
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[Publications] 中村宏典: "Spitsbergenの融雪過程" 低温科学、物理編. 53. 11-22 (1994)
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[Publications] 小野延雄: "北極海の海洋・大気研究" 測候時報. 62-1. 33-55 (1995)
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[Publications] Yamanouchi,T.: "Radiative effects of clouds,ice sheet and sea ice in the Antarctic." Snow and Ice Covers: Interactions with the Atmosphere and Ecosystems. IAHS Publ.223. 29-34 (1994)
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[Publications] Konishi,H.: "Seasonal Variation of precipitating Clouds hear Syowa Station,Antarctica derived from liquid water content data." J. Meteor. Soc. Japan. 709-717 (1994)
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[Publications] 伊藤 一: "沿岸定期船によるノルウェー・スピッツベルゲン周辺の海洋調査" 海洋調査技術. 6-2. 57-59 (1994)
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[Publications] Ito,H.: "Temperature Profiles of the Greenland Sea in the Summer of 1993: Oceanographic Observation on the R/V Lance Cruise." Antarct. Rec.38-1. 368-371 (1994)
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[Publications] Aoki,S: "Relationship between atmospheric CO_2 and CH_4 concentrations at Syowa Station,Antarctica." Proc. NIPR Symp. Polar Meteorol. Glaciol.8. 14-18 (1994)
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[Publications] 小野延雄: "基礎雪氷学講座第VI巻「雪氷水文現象」" 古今書院, 15 (1994)