1993 Fiscal Year Annual Research Report
社会性昆虫の不妊カーストに関する進化理論の検証、特に多女王制の比較生態
Project/Area Number |
05044118
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東 正剛 北海道大学, 地球環境科学研究科, 教授 (90133777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WESTーEBERHAR メアリージェ スミソニアン熱帯研究所, 生態学部門, 主任研究員
WINDSOR Dona スミソニアン熱帯研究所, 昆虫学部門, 主任研究員
松本 忠夫 東京大学, 教養学部, 教授 (90106609)
伊藤 嘉昭 沖縄大学, 短期大学部, 教授 (50115531)
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Keywords | 社会性昆虫 / アリ / シロアリ / カリバチ / 新熱帯 / バロ・コロラド / 多女王制 / 不妊カースト |
Research Abstract |
パナマのバロコロラド島の熱帯林内及びコスタリカのサンホセ近効において、カリバチ、アリ、シロアリの調査を行い、以下の結果を得た。1)計32属約50種のアリを採集し、うち18種で多女王制を確認した。尚、バロコロラド島では同島からの未報告種も多数採集したが、この中には新種もいくつか含まれているようである。2)最も原始的な菌食アリであるCyphomyrmex rimosusは体長と女王の形態から3Formに分けられ、いずれもワーカーが口から吐き出すゼリーを菌庭の主な基貭としているが、これはハキリアリの進化を考察する上で非常に重要な知見と考えられる(論文準備中)。3)ハリアリの1属Simopeltaは軍隊アリとして知られているが、バロコロラド島の種はコロニーサイズが20個体前後と、軍隊アリとしては最小であり、ハンティングやリクルートメントで独得の習性を示す(論文準備中)。4)3大原始アリの1つノコギリハリアリ族に属するPrionopeltaでは若令幼虫や女王は栄養卵食と考えられてきたが、バロコロラド島のP.spでは全く卵食がみられず、女王は幼虫から血リンパを得ているようである(論文準備中)。5)カリバチでは原始的グループであるヒメアシナガバチ属を中心に7種の社会構造を観察し、うち4種について解剖作業を終了した。まず、Polybia scrobalis surinama、Metapolybia asteca、Proto-polybia sp.では3%〜35%の個体が受精しており、多女王制のコロニーが大半であるが、Polistes canadensisは基本的に単女王制と考えられる。6)シロアリでは、バロコロラド島を中心に多数の種を採集し、Nasutitermes cornigerなど数種で多女王制を確認した。現在、ビショップ博物館の標本との比較などにより同定作業を進めている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ohkawara,K.& Higashi,S.: "Behaviour of a ponerine army ant species Simopelta sp.with very small colony size" Insectes Sociaux(Paris). (投稿中).
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[Publications] Ohkawara,K.& Higashi,S.: "Recruitment of nestmates in the goraging of Simopelta sp." Insectes Sociaux(Paris). (投稿中).
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[Publications] Murakami,T.& Higashi,S.: "Fungus-growing behaviour of the most primitive attaine ant species Cyphomyrmex rimosus." Behavioural Ecology & Sociobiology. (投稿予定).
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[Publications] Higashi,S.: "What do queens of a primitive ponerine ant Prionopelta eat?" Insectes Sociaux. (予定).
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[Publications] Ito,Y.: "A great variance in the number of queens of Polistes canadensis" Psyche. (投稿中).