1993 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪酸結合蛋白分子種(FABP)の細胞機能に関する研究
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05044154
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小野 輝夫 新潟大学, 医学部, 教授 (00000927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 順 新潟大学, 医学部, 助手 (90242403)
藤井 博 新潟大学, 医学部, 助教授 (90165340)
井関 尚一 金沢大学, 医学部, 教授 (50167251)
鈴木 利光 福島県立医科大学, 教授 (80018952)
近藤 尚武 東北大学, 医学部, 教授 (20004723)
JUDITH Storc Rutgers大学, 栄養学部, 助教授
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Keywords | 脂肪酸結合蛋白(FABP) / L-FABP / I-15P / H-FABP / 心筋梗塞 / 脂肪酸 / ステロイド産生臓器 |
Research Abstract |
新しい脂肪酸結合蛋白分子種(FABP)の検索として、ネズミ回腸粘膜細胞から精製したI-15PのcDNAを単離し、ORFが蛋白側から決定したアミノ酸配列と同じであることを明らかにした。更にヒトのcDNAも単離しこれらの発現系を確立してリコンビナント蛋白を調製した。本蛋白が既知のFABBの中で肝型L-FABPと最も近縁関係にあることから、L-FABPのX-線結晶解析を行なっているミュンスター大学のSpener教授グループとの共同研究を立案した。またネズミ皮膚から新たに単離精製したcutaneous C-FABPは、アミノ酸配列決定の結果既知のFABPの中では心筋型H-FABPと最も近縁関係にあることが明らかにされた。しかしH-FABPとの大きな違いは通常H-FABPは動物種でもcysteineを含まないか含んでも1個しかないのにC-FABPには7個のcysteineがあり異なった機能をになっていると推定される。Spenerらのグループも脳嗅覚組織よりcysteineが7個ある新しいタイプのFABPを精製しbrain like H-FABPとして報告していることからC-FABPとの比較を共同で行なうことを計画した。 ヒトの心筋型H-FABPが骨格筋より単離精製したものと同一であることは、オランダVeerkamp教授のグループとの共同研究で既に明らかにしたが、今回ヒトのH-FABPに対する抗体を用い、急性心筋梗塞患者の心筋組織を免疫組織化学的に染色し、病的条件下でのH-FABPの動態を観察した結果、壊死組織の他形態学的に変化の認められない心筋細胞でもH-FABPが著しく減少していることを見出し、病変の組織マーカーに成り得る可能性を示唆した。 回腸から精製されたI-15Pは卵巣や副腎にも存在することがウエスタンブロットで示されたが、ノザンブロットは回腸と黄体でしか検出されなかった。またL-FABPと近縁にありながら脂肪酸を結合出来ず、ラトガ-大学のStorch博士と生理的リガンドの検索を行なっているが結論に至っていない。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Fujii,H.: "Cloning of a cDNA encoding rat intestinal 15 kDa protein and its tissue distribution" Biochem.Biophys.Res.Commun.190. 175-180 (1993)
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[Publications] Watanabe,K.: "Immunohistochemical distribution of heart type fatty acid binding protein:Immunoreactivity in normal human tissues and in acute myocardial infarct" J.Pathol.170. 59-65 (1993)
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[Publications] Iseki,S.: "Expression of localization of intestinal 15 kDa protein in the rat" Mol.Cell Biochem.123. 113-120 (1993)
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[Publications] Goto,K.: "Molecular clocning and expression of a 90-kDa diacylglycerol kinase that predominantly localizes in neurons" Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.90. 7598-7602 (1993)
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[Publications] Aono,S.: "Detection of bililubin binding proteins in the liver on a nitrocellulose membrane" Biomed.Res.13. 69-74 (1993)
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[Publications] Watanabe.R.: "Molecular cloning of a cDNA encoding a novel fatty acid binding protein from rat skin" Biochem.Biophys.Res.Commun.200 (in-press). (1993)
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[Publications] 小野輝夫: "新生化学実験講座4 脂質I 中性脂質とリポタンパク質" 東京化学同人, 5 (1993)
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[Publications] 小野輝夫: "生物薬科学実験講座I-3" 広川書店 (印刷中), (1993)