1995 Fiscal Year Annual Research Report
言語におけるカテゴリーの認知言語学的研究-英語を中心とした類型論的考察
Project/Area Number |
05301057
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
池上 嘉彦 昭和女子大学, 文学部, 教授 (90012327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 三明 成蹊大学, 文学部, 教授 (60054392)
唐須 教光 慶応義塾大学, 文学部, 教授 (50102017)
山梨 正明 京都大学, 総合人間学部, 教授 (80107086)
山中 桂一 東京大学, 教養学部, 教授 (20056055)
河上 誓作 大阪大学, 文学部, 教授 (20038467)
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Keywords | 認知 / カテゴリー / プロトタイプ / スキーマ / 格 / 運動 / 行為 / 比喩 |
Research Abstract |
研究メンバーの在外研究のための出張の機会が重なったことなどから、研究会の開催は前年や前々年度ほど多くなかったが、それ以外の形での活動は研究メンバーの一人による日本語での最初の包括的な認知言語学の研究書の刊行を始め、国内、国外の学会での研究発表、シンポジウムの実行、招待講演を通じての隣接分野の研究者との交流は極めて活発であった。取りあげられたテーマは、言語的カテゴリーの成立原理としての〈プロトタイプ性〉の確認、〈スキーマ〉による規定の有効性の検証、通時的側面の問題としての〈文法化〉の現象の具体例の記述、そしてこれらの諸点についての考察を通じて浮かび上がってくる人間言語にとって可能な〈類型〉とはどのようなものであるか、といったことに多く関わっていた。とりわけ、具体的な問題レベルでの貢献としては、〈格〉カテゴリーのプロトタイプ的性格が日本語についても妥当することを立証した研究、〈運動〉のスキーマが普遍的に認定できる一方、例えば〈方向性〉という特徴がどれ位顕著に出るかに関して言語間で差があること、〈運動〉のスキーマと〈行為〉のシキ-マを対比した場合、前者で行為を概念化しようとする傾向と後者で運動を概念化しようとする傾向という類型論的な対立が認められること、〈比喩〉に関わる日本の伝統的な概念は言語操作というより身体性に根ざした発想という指摘、など、特に興味深い知見である。
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