Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝尾 良隆 立教大学, 社会学部, 教授 (40219655)
中藤 康俊 富山大学, 経済学部, 教授 (70019339)
山村 順次 千葉大学, 教育学部, 教授 (10110686)
篠原 重則 香川大学, 教育学部, 教授 (50226156)
野本 晃史 島根大学, 教育学部, 教授 (30032501)
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Research Abstract |
1.平成5年度の研究で(1)農山村においては,町村営または組合営の農村型リゾートは,小規模であるため,環境と調和し,労働力や食材の需給などを通じて相互に発展していること,(2)農山村におけるリゾートが,民間資本を導入したり,第三セクターを設立して大規模化すると農林業や農村景観との調和を崩し,環境問題を惹起していること,(3)中山間地域における農業は,位置・気候・地形(起伏とひろがり)などの特性に応じて,集約型(トマト・ピーマンなど)と粗放型(標準価格米など)とに地域分化しつつあり,前者では特産品の需給を通じて,後者では労働力の需給を通じて,リゾート経営との相互連関がみられること,(4)粗放型も圃場整備が進んでいる場合には労力の節減などを通じて,リゾートに労力を提供し,国土保全に役立っているという意味で存在価値があること,しかし,(5)圃場整備が,農村景観を損うほど大規模な均平化などを進める場合には環境保全上問題があることなどが明らかとなった。 2.農村型リゾートは,素朴な農村景観に恵まれた,低廉な滞在地を利用者に提供しているので,いわゆる高級リゾート地とは異なる意味で有用性があるが,(1)多額の公的資金(補助金)を導入して建設されていることは問題になる。ヨーロッパ型のデカプリング政策を日本の中山間地域に一般化すべきかどうかなお議論の余地があるが,補助金や所得補助というよりは,市場経済に適応し得るように,無利子,あるいは低利融資・長期償還,免税などの施策が妥当ではないかどうか,今後検討すべきであろう。(2)また,農村型リゾートの空間構造についても問題になる。農村型リゾートは,農山村各地に分散立地している。このような分散立地が,農林業や農村景観と調和し,過剰投資にもならないという意味で合理的であることが仮定される。
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