1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05301092
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
藤田 宏 明治大学, 理工学部, 教授 (80011427)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 彦三郎 東京大学, 大学院数理科学研究所, 教授 (40011473)
細井 勉 東京理科大学, 理工学部, 教授 (30055305)
森本 光生 上智大学, 理工学部, 教授 (80053677)
飯高 茂 学習院大学, 理学部, 教授 (20011588)
沢田 利夫 国立教育研究所, 科学教育センター, センター長 (40000062)
|
Keywords | 数学離れ / 数学的リテラシー / 数学的思考力 / 高校数学教育 / 大学数学教育 / ICME9 / 教育課程審議会 |
Research Abstract |
2年継続の本研究であるが、初年度において得られた主な知見は次の通りである。 1.新指導要領の趣旨を活かしての高校カリキュラムの実践のためには、「みんなの数学」といった謬見と峻別して、数学的リテラシーと数学的思考力との尊重する本来の理念を関係者が改めて認識する必要があること。 2.高校の多くにおいて、数学の選択性の拡大と社会科、家庭科の必修への割り込みとが不幸な共鳴を起こし、時間割上での数学の枠の減少につながりかねない状況がある。これを防止するための与論喚起が必要である。 3.最近の生徒の数学離れの最も憂えるべき特色は、形式的な選択数学の履修の減退だけでなく、優秀部分の生徒の数学に向ける熱意の低下である。これに対し、数学の高度の履修が産業あるいは社会一般において評価され報いられるように運動する必要がある。“数学の学び甲斐の喪失"につながるような安易な内容の軽減に血道を挙げてきた数育学者あるいは行政者の一部の猛省を促さねばならない。検定のあり方もこの視点から見直す必要がある。 4.大学の非数学科における数学教育の構築が強く要望される。数学の力/素養を大いに必要とするが、伝統的な「理学部の数学」では不十分な分野が多い。それを補完するML志向あるいは数理科学志向の数学教育を誠実に編まねばならない。 5.数学の重要性と数学教育の困難を認識するとき、次期教育課程審議会のコアメンバーに数学者が参加することが望まれる。 6.日数教を中心として努力が結集されつつあるICME9の日本誘致を成功させねばならない。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 藤田 宏: "New paradigm of applied mathematics;its historical position and projection on mathematics education" J.Cult.Hist.Math.3. 28-33 (1993)
-
[Publications] 町田 彰一郎: "The interaction of mathematics and culture in Japan" J.Cult.Hist.Math.3. 10-16 (1993)
-
[Publications] 三輪 辰郎: "School mathematics education in near future;The prospect" Tsukuba J.of Educ.Study in Math.12-B. 1-4 (1993)
-
[Publications] 能田 伸彦: "How to link affective and cognitive aspects in mathematics class---comparison of two teaching trials on problem solving---" Psychology of Math.Educ.17. 8-10 (1993)
-
[Publications] 飯高 茂: "放物線、楕円、そして一般の代数多様体へ" 数理科学. 32. 10-15 (1994)
-
[Publications] 吉川 敦: "九州大学大学院・数理学研究科の目指すもの" 応用数理. 3. 55-58 (1993)
-
[Publications] 藤田 宏: "基礎解析I" 岩波書店(応用数学講座), 99 (1994)
-
[Publications] 一松 信: "複素数と複素平面" 森北出版, 171 (1993)