1994 Fiscal Year Annual Research Report
雲仙普賢岳災害地域住民の社会的再適応過程の社会学・心理学的研究
Project/Area Number |
05301108
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Research Institution | Chikushi Jogakuen University |
Principal Investigator |
三隅 二不二 筑紫女学園大学, 学長 (30037022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 道雄 熊本大学, 教育学部, 助教授 (70108611)
篠原 弘章 熊本大学, 教育学部, 助教授 (20040066)
佐藤 静一 熊本大学, 教育学部, 教授 (10040031)
米村 竜二 筑紫女学園大学, 文学部, 教授 (70220770)
鈴木 広 久留米大学, 文学部, 教授 (10036965)
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Keywords | 普賢岳災害 / 市民意識調査 / loosely structured community / 機能団体 / ボランティア団体 / tightly structured community / 危機管理過程 / 阪神大震災 |
Research Abstract |
本年度の研究の第1として、島原市の全体の社会調査を行った。災害都市島原の特徴は、その普賢岳災害が発生後3年をへてなお、完全に終息していないという長期性と、その間に被災地域が次第に拡大していった全体性にあり、従ってこの場合、自然災害に対する社会的対応を認識するには、島原コミュニティの長期的な社会変化としての把握が要求される。われわれはその視点から、(1)各種機関への事前聴取と資料収集、(2)100人以上にわたるインフォーマントへのインタヴューによる事情聴取・生活史記録、(3)1982年市民意識調査との比較のための意識調査、の3方法を中心に、課題にアプローチした。 要約的に摘認すれば次のとおりである。(1)この地域社会の変動は全体として一種の広義における危機管理過程であるが、それは地域社会に存在する多くの機能団体(商工会議所・各協組・地域団体その他ほとんど全部)が、総結集する過程を含む。それによってコミュニティそのものが、意思統一を図ろうとするのである。その合意にもとづいて行政的な次元での統一行動が可能となる。すなわち、島原はloosely structured communityからtightly structured communityへと変身することによって、危機管理しようとする。 研究の第2として、教育調査を行った。雲仙・普賢岳災害が、高校生の学校・家庭・企業・地域社会生活および防災体制・避難訓練に及ぼす影響について調査した。対象は島原市内に所在する高等学校5校の2年生985名の調査を実施した。さらに火山・岩石及び地震に関する知識・理解に及ぼす影響を中学生に対して調査を実施した。中学校調査は、4つの中学校の1年生575名の調査と対照群として熊本市内に所在する1中学1年生104名の調査を行い比較した。 第1研究としての社会調査は社会学的調査として行われ、第2研究は社会心理学的調査である。第3として4本木地区を中心に民族学的調査を行った。60世帯が市が造成した団地造成業務に反対した状況を調査対象としたのである。 調査のまとめとして注目した事実は、ボランティア団体と地域町内会都の機能的重要性である。阪神大震災でも全く同じ事実がみられた点、これは災害都市における法則的傾向であると断定してもよい。
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