1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05304012
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中世古 公男 北海道大学, 農学部, 教授 (80001452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
県 和一 九州大学, 農学部, 教授 (00091364)
河野 恭広 名古屋大学, 農学部, 教授 (90023407)
石原 邦 東京農工大学, 農学部, 教授 (70014925)
岩間 和人 北海道大学, 農学部, 助教授 (70144219)
喜久田 嘉郎 北海道大学, 農学部, 教授 (90001445)
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Keywords | 作物の環境適応性 / 調節機能 / 補償機能 / 器官形成 / 生長調節物質 / 吸水・蒸散・光合成機能 / 物質分配 / 環境耐性 |
Research Abstract |
環境変化に対する作物の適応形態や生理機能の変化を解明するため、各研究者がこれまで用いてきた作物を対象に、環境条件と器官形成、生長調節物質、吸水・蒸散・光合成機能、物質分配と諸機能、との関係を中心課題として検討を行い、以下の知見を得た。 1.環境条件と形態形成との関係:イネ属の幼植物体の生長には祖先種に由来し、深播適応性と関連している生育型が存在すること(高橋)、国内各地から集めたコシヒカリ種子の胚重には生産環境による変異がみられ、これが低温ストレス下の発芽、初期生長と関連すること(秋田)が明らかとなった。また、深播耐性の強い春播コムギ品種は、種子重が重く、鞘葉長が長く、幼芽の抽出力が大きいことが明らかになった(稲永)。 2.生長調節物質の役割:バレイショの塊茎形成にはジャスモン酸誘導体が関与すること(喜久田)、ダイズの形態はエチレンによって矮性化し、GA阻害剤によって物質分配動向が変化して子実収量が増加すること(中世古)、また、イネの出液中に見出だされるABAやサイトカイニンの活性は品種によって異なることが明らかとなった(折谷)。 3.吸水・蒸散・光合成機能:根の生理的活性の低下は、光合成系の活性ではなく、水の吸収低下を通じて光合成に影響すること(石原)、根系の異なるバレイショ品種の気孔抵抗や蒸散速度の差異は生育後半に現われること(岩間)、補償機能の大きい節根におけるリグニンの性質は作物によって異なること(河野)、およびアフリカの栽培稲Oryza glaberrimaは光合成機能面からみると、一年生の特性を有することが確認された。 4.物質分配と諸機能:トールフェスクは根への乾物分配率が大きい反面、地上部のN反応が小さく、耐乾性が高いこと(中野)、およびアカクローバでは葉身の展開に伴って篩部細胞と葉緑体の構造発達が同時に進行すること(長南)が明らかになった。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] 川嶋浩樹: "バレイショにおける気孔抵抗の生育にともなう推移" 日本育種・作物学会 北海道談話会報. 34. 106-107 (1993)
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[Publications] 川嶋浩樹: "根量の異なるバレイショ品種間における葉の拡散抵抗の比較" 日本作物学会紀事. 63(印刷中).
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[Publications] Zheng-Jun Xu: "Regeneration via somatic embryogenesis and/or organogenesis in callus from mature seeds of Echinochloa oryzicola Vasing." Jpn.J.Crop Science. 62. 614-620 (1993)
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[Publications] Yamagishi,K.: "Jasmonic acid-inducible gene expression of kunitz-type proteinase inhibitor in potato tuber disks." Plant Molecular Biology. 21. 539-541 (1993)
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[Publications] 渡邊肇: "イネ栽培種及び野性種におけるMC個体の出現率の比較" 日本作物学会紀事別号(2). 62. 229-230 (1993)
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[Publications] 土屋哲郎: "ジャガイモ塊茎における維管束の分布と連絡およびその組織内デンプン蓄積との関係" 日本作物学会紀事. 62. 172-182 (1993)
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[Publications] 長南信雄: "アカクローバ葉の展開に伴う篩部転送細胞と葉緑体の構造発達" 日本作物学会紀事別号(2). 62. 249-250 (1993)
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[Publications] 秋田重誠: "水稲品種コシヒカリの種子生産環境の違いが発芽特性に及ぼす影響" 日本作物学会紀事. 63. (1994)
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[Publications] 蒋徳安: "根の生理的活性の減少に伴う水稲葉身の光合成速度低下の要因について" 日本作物学会紀事. 63(発表予定). (1994)
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[Publications] 斉藤邦行: "水稲多収性品種の乾物生産特性の解析 第6報 新・旧品種の比較を通じて" 日本作物学会紀事. 62. 509-517 (1993)
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[Publications] 奥山英利: "イネ科作物根の補償能に関する種間比較" 日本作物学会東海支部会報. 117. 1-2 (1994)
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[Publications] 池田利治: "イネ科作物根におけるリグニンの比較組織化学" 日本作物学会東海支部会報. 117. 3-4 (1994)
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[Publications] 窪田文武: "西アフリカ地域の水稲栽培種Oryza glaberrima Steud.とOryza sativa L.の乾物生産と光合成の水耕液濃度に対する反応" 日本作物学会紀事. 61. 207-212 (1992)