1993 Fiscal Year Annual Research Report
瀬戸内区における中新世の地殻深部異常高温帯形成過程の研究
Project/Area Number |
05402021
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小松 正幸 愛媛大学, 理学部, 教授 (00018665)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田崎 耕市 愛媛大学, 教養部, 教授 (50033262)
榊原 正幸 愛媛大学, 理学部, 助教授 (80202084)
|
Keywords | 瀬戸内区 / グラニュライト / 大隅石 / 部分溶融 / 下部地殻 |
Research Abstract |
1.瀬戸内区火山岩に包有される高度変成岩ゼノリスの研究 本年度は四国地域の研究に重点を置き,香川県雨滝山,天霧山,愛媛県黒森山の安山岩に含まれるゼノリスの調査と分析を行った.その結果,(1)雨滝山から大隅石を含むゼノリスが発見された.この種の岩石から大隅石が発見されたのは本邦初であり,世界的には4番目である.この岩石は粗粒のザクロ石-キン青石-十字石-ケイ線石-黒雲母-カリ長石-斜長石よりなるが,黒雲母は細粒の斜方輝石,カリ長石,大隅石,スピネル,キン青石に置換されている.したがって,変成作用は比較的緩慢に熱せられる初期と,短時間に高温で急激に熱せられた後期の2段階に分けられる.初期の最高温度条件は約800℃,後期は1000℃に達する.(2)天霧山の塩基性グラニュライトのゼノリスの大部分は広域変成岩ではなく,熱変成作用によって形成されたものであることが分かった.これらの変成岩とともに,多量の泥砂質変成岩ゼノリスを採集したが,これらのほとんどは部分溶融を被っている.(3)黒森山の安山岩からザクロ石-キン青石-斜方輝石-斜長石の集合体が発見された.これらの結晶にはガラス包有物があり,これらの結晶がマグマから結晶したものであることが分かる.このような鉱物が結晶したマグマは泥質変成岩が溶けたものでなければならない.さらに,キン青石にはケイ線石,スピネルが含まれており,これらの結晶は泥質岩の溶け残りとみなせ,この時の溶融温度は1200℃に達する.キン青石中のガラス包有物の化学組成は瀬戸内区のカリに富む流紋岩に類似する.したがって,地下深部では高温のために部分溶融が起こり,酸性マグマが生じたことが判明した.(1),(3)について現在,論文を執筆中である. 2.三波川帯結晶片岩中の高温ホルンフェルスの研究 今年度石鎚山地域において新たにホルンフェルスを確認した.ホルンフェルス化は片理に沿って起こっていること,斜長石の組成範囲が以上に広いこと(An100まで),黒雲母,角閃石に多量のCl,Fが含まれることが判明した.これらの結果は,この作用が高温流体の通過によって起こったことを示している.
|