1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05402053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保田 弘敏 東京大学, 工学部, 教授 (30114466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綿貫 忠晴 東京大学, 工学部, 助手 (00182965)
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Keywords | 超音速輸送機 / ソニックブーム / オゾン層 / デルタ翼 / アロ-(矢形)翼 / ナビエストークス方程式 / 対流圏 / 窒素酸化物 |
Research Abstract |
超音速輸送機(Supersonic Transport:SST)の実現のための課題として、(1)ソニックブームの低減化、(2)オゾン層の保護、(3)空港騒音の低減化を検討することとしており、本年度は(1)と(2)についての研究を行った。以下にその研究実績の報告を行う。 (1)ソニックブーム低減化に関する研究 航空機翼平面形をデルタ翼(基本形)及びアロ-(矢形)翼とし、機首を尖頭及び鈍頭とした場合のソニックブーム強度(圧力分布)をマッハ数2の超音速風洞実験によって測定し、デルタ翼よりもアロ-翼の方が、また、尖頭よりも鈍頭機首の方がソニックブーム低減化に有効であることがわかった。これらの形状の等価軸対称物体に対して、オイラー方程式による数値シミュレーション及びWhithamの方法による予測を行い、同様の結果を得た。さらに、数値シミュレーションによって圧力抵抗値を得て、機首断面積が軸方向距離の3/2乗に比例するような鈍頭形状が圧力抵抗とソニックブームの両者の低減化に有効であることを見いだした。デルタ翼の等価軸対称物体に対する圧力分布の計算値が、翼部分で実験値と相違することに鑑み、その三次元形状に対する数値シミュレーションも行い、良い一致を見ている。 (2)オゾン層化学に関する研究 二次元ナビエストークス方程式に基づいて、対流圏での中小規模での対流のようすと、それに伴う地上および航空機から排出される窒素酸化物(NOx)の拡散の状態を計算した。平成5年度の予備的な結果と比較することにより、窒素酸化物の拡散は、高度方向の渦拡散に強く支配されることがわかった。将来的には、対流圏および成層圏に存在するオゾンと窒素化合物の反応を含めることにより、オゾンの濃度分布を得る予定である。
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[Publications] 牧野 好和: "ソニックブーム低減化に関する研究" 第26回流体力学講演会講演集. 177-180 (1994)
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[Publications] 田中 伸彦: "大気対流による窒素酸化物の拡散の数値実験" 第41回風に関するシンポジウム・アブストラクト. 3-3 (1994)
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[Publications] 牧野 好和: "ソニックブーム強度に及ぼす機体形状の影響" 平成6年度衝撃波シンポジウム講演集. (予定). (1995)
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[Publications] 杉浦 貴明: "機体近傍でのソニックブーム強度に関する実験的研究" 第26期日本航空宇宙学会年会講演会講演集. (予定). (1995)