1996 Fiscal Year Annual Research Report
作物の個体生理からみた根の多面的役割の質的・量的評価
Project/Area Number |
05404008
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
石原 邦 東京農工大学, 農学部, 教授 (70014925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 泰一郎 東京農工大学, 農学部, 助手 (80213643)
平沢 正 東京農工大学, 農学部, 助教授 (30015119)
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Keywords | 降伏圧 / 細胞伸長 / 水分屈性 / ダイズ / 接木 / 葉の老化 / マングローブ / 水ポテンシャル |
Research Abstract |
作物の根は養水分吸収、植物ホルモンを含むいろいろな化合物の形成、環境に対する応答など個体の生育に重要な役割を果たしている。これらの役割に着目して研究を行い、以下の結果を得た。 1.マングローブ植物が海岸、河口に生育する実態を、葉の水ポテンシャル状態から検討した。汽水域に生育している植物の葉身の水ポテンシャルは汽水の水ポテンシャルより低く、高い圧ポテンシャルを維持していた。しかし塩分濃度の高い外海に面した海岸に生育している植物では葉の水ポテンシャルは海水の水ポテンシャルより高く、それにもかかわらず圧ポテンシャルはかなり高かった。このことは外海に面した海岸に生育する植物は海水よりかなり高い水ポテンシャルの水を吸収しており、この水は陸から海に直接流出する地下水の影響を受けている水であると推察された。 2.水ポテンシャルの高い方に根が屈曲する根の水分屈性においては、水ポテンシャルの違いが根端で感知されることによって偏差生長がおこることがわかった。水ポテンシャルの低い側にある伸長のはやい組織は水ポテンシャルの高い側の伸長のおそい組織に比較して伸展係数は大きいが膨圧、降伏圧に相違はなく、水ポテンシャルに違いがなかった。このことから、水分屈性では伸長組織の細胞壁の伸展係数と水伝導度が影響を受けて屈曲がおこると推察された。 3.根が地上部の老化に及ぼす影響を検討するため、葉の老化が異なるダイズの2品種を用いて相互に地上部と地下部を入れかえた接木個体を作り、検討した。その結果、老化の遅い品種を台木とした時には穂木に関係なく登熟の前期では老化が遅く、根の性質が地上部の老化に関係していることが推察された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 若林,克拓: "葉の水ポテンシャルの低下に伴う光合成低下の要因の検討-赤外線CO_2分析法と気相酸素電極法を用いて-" 日本作物学会紀事. 65巻・4号. 590-598 (1996)
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[Publications] Hirasawa,T.: "Water Potential,turgor and cell water properties in elongating tissues of the hydrotropically bending roots of pea(pisum sativum L.)" Plant Cell and Environment. 20巻(印刷中). (1997)
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[Publications] 徐,銀発: "水稲多収性タカナリの収量と乾物生産過程の解析-1991年から1994年の4年間-" 日本作物学会紀事. 66巻・1号(印刷中). (1997)
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[Publications] 石原,邦: "水環境に対する植物の反応について" 土壌の物理性. 76号(印刷中). (1997)