1994 Fiscal Year Annual Research Report
血管および腸管平滑筋の生理・生化学的差異に関する研究-平滑筋収縮の周期性の生理・生化学的機序-
Project/Area Number |
05404015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
唐木 英明 東京大学, 農学部, 教授 (60011912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
局 博一 東京大学, 農学部, 助教授 (30142095)
菅野 茂 東京大学, 農学部, 教授 (70111482)
三井 みの里 東京大学, 農学部, 助手 (70192359)
堀 正敏 東京大学, 農学部, 助手 (70211547)
尾崎 博 東京大学, 農学部, 助教授 (30134505)
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Keywords | 平滑筋 / 収縮 / 細胞内カルシウム / エンドセリン / PAF |
Research Abstract |
平滑筋はその収縮パターンからtonic筋およびphasic筋に分けられる。Tonic筋は刺激により持続性の収縮を発生するもので、多くの動脈がこれに当たる。Phasic筋は自発性の興奮性を持つ筋で、刺激により静止張力の上昇を伴わずに、自発性収縮の大きさのみが増強される筋である。消化管のある部分(胃、結腸の一部)がこれにあたる。混合型として、刺激により自発性収縮の大きさが増大するとともに、静止張力も増大するタイプの筋も存在する。この様な平滑筋は極めて多く、血管、消化管のある部分、末梢の動脈、静脈、生殖器系の平滑筋臓器などが挙げられる。この様な収縮パターンは、生体内でそれぞれの目的にかなった生理的役割を演じているものと解釈される。独特の収縮制御機構の存在が予想されるにもかかわらず、これに関する研究はほとんど行われていない。本年度は;1)tonic筋であるラット大動脈とphasic筋である門脈(静脈)の収縮パターンおよび細胞情報伝達系の差異を、最近注目されている新規平滑筋収縮物質であるエンドセリンをアゴニストとして選び比較した。その結果、両平滑筋において受容体サブタイプが異なること、また細胞内Ca濃度上昇機構や収縮蛋白質のCa感受性に差が見られることが明らかとなった。2)さらに、phasic筋である子宮平滑筋に注目し、妊娠の経過に伴う収縮性の変化を観察した。その結果、血小板活性化因子(PAF)の感受性が妊娠と共に著しく変化することを見いだし、PAFが妊娠維持あるいは分娩時の子宮の収縮性変化に大きく関与することが示された。その他、妊娠と共に収縮蛋白系の構成が変化することも明らかにされた。
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