1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05404045
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
阿岸 鉄三 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70090660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 英樹 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60246543)
新開 真人 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10216210)
君川 正昭 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70204964)
早坂 勇太郎 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (30120033)
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Keywords | 異種心移植 / 異種ポリクロナール抗体 / 異種自然抗体 / 拒絶反応 / 血清補体価 |
Research Abstract |
昨年度は、血漿交換・免疫吸着によって異種自然抗体(XNA)除去を試み、異種移植心の生着延長に成功した。本年度は、XNAに拮抗すると考えられる異種ポリクロナール抗体(XPA)を作製し、異種心移植直前にレシピエントに投与して、生着延長効果を検討した。 1.XPAの作製 モルモットの赤血球と白血球を分離して、それぞれ、週一回、計10回ウサギに感作した。十分な抗体価を確認後全採血し、γ分画を分離してIgGを精製し凍結乾燥した。 2.実験方法 ラットにXPAを1.5〜30mg/kg投与後、直ちにモルモットの心臓を異所性に移植した。拍動する移植心から、経時的に生検を行い、拍動停止時には全摘し、光顕用と免疫組織染色用の病理標本を作製した。また、経時的に採血し、血清補体価を測定した。 3.結果 XPA非投与群は、異種移植心の平均生着時間は15分であったが、XPAを投与した場合は有意に延長した。XPA投与量と生着時間の間には強い相関関係(相関係数>0.9)が見られ、XPAを15mg/kg投与した場合の平均生着時間は4時間、XPAを30mg/kg投与した場合の生着時間は7時間を超えた。 拍動良好時には血清補体価は正常範囲内であり、病理所見でも、拒絶反応は見られなかった。血管内皮細胞にはXPAの付着を認め、XNA、補体、フィブリンなどの付着はほとんど認めらなかった。一方、拍動の停止時には血清補体価は低下し、拒絶反応の所見が見られ、XNA、補体、フィブリンなどの付着が広範囲に認められた。 4.考察 大量に投与されたXPAは、内皮細胞クラスI抗原と速やかに反応し、XNAと同抗原との反応をブロックし、その結果として補体の活性化、フィブリンの付着など、一連の反応が抑制されていると考えられる。また、内皮細胞クラスI抗原と結合したXPAは、時間の経過とともに内皮細胞から離脱して行く可能性が示唆された。
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[Publications] 早坂勇太郎・高橋公太: "OKT 3/BMA 031の輸血後GVHDへの応用、腎移植後のステロイド抵抗拒絶反応に対する抑制療法よりの検討" 日本輸血学会雑誌. 40(3). 542-546 (1994)
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[Publications] 早坂勇太郎・高橋公太他: "ATGAM、抗ヒト胸腺細胞免疫グロブリン(ウマ)の免疫学的な基礎検討" 今日の移植. 7(3). 277-284 (1994)
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[Publications] 早坂勇太郎: "6.モノクローナル抗体による急性拒絶反応の抑制" Newメディカルサイエンス「移植免疫の最前線」(株)羊土社. 131-145 (1994)
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[Publications] 早坂勇太郎・河合達郎: "〈新しいくすり〉OKT3(ムロモナブ)" 免疫薬理. 12(4). 413-415 (1994)