1995 Fiscal Year Annual Research Report
視覚野学習機構(自己組織化)のin vitro研究
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05404086
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
外山 敬介 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (90090505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 秀二 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (30228704)
黒谷 亨 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (50195591)
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Keywords | 大脳皮質 / コバリアンス学習 / 共培養標本 |
Research Abstract |
大脳皮質視覚野の神経回路の基本的構造は遺伝子により制御され、細部は学習的に形成されと考えられているが、その神経機構についてはほとんど明らかにされていない。本研究の目的は、これらの機構を共培養標本(Yamamoto et al.,1989)や脳切片標本などの手法(Toyama et al.,1995)を用いて明らかにすることである。平成7年度においては、1)腹側共培養標本(外側膝状体を視覚野の白質側に置く)、2)背側共培養標本(外側膝状体を視覚野の蜘蛛膜側に置く)、3)傍共培養(外側膝状体を視覚野の側面に4層に接して置く)などの3種類の外側膝状体-視覚野共培養標本を用いて、通常型顕微鏡による外側膝状体軸索の投射パターンの観察と共焦点顕微鏡による生きた外側膝状体軸索の成長の観察を行い、次の結果を得た。腹側標本においては、外側膝状体軸索は白質より6,5層を一定の速度で成長したが、4層に到着すると一旦成長を停止した後、分枝を開始した。このとき多くの軸索において、成長円錐が縮小し、後退するのが観察された。背側標本でも外側膝状体軸索は蜘蛛膜を通過して、4層に至り、腹側標本と同様の軸索分枝を形成した。背側標本においても外側膝状体軸索は腹側標本の場合とほぼ同じ速度で蜘蛛膜、視覚野表層を通過し、4層で減速あるいは一旦停止したが、観察の時間内では分枝は生じなかった。傍標本では、4層に侵入した軸索は水平に成長した後分枝を形成した。また表層より侵入した軸索は成長方向を変えて4層にいたり分枝を形成した。以上の所見は腹側標本の外側膝状体軸索の成長パターンの観察は視覚野4層に軸索の成長を一旦停止させる信号(stop signal)と分枝を促す信号(branch signal)の存在を示唆するようにも思われる。しかしながら、外側膝状体軸索が4層を水平に成長する傍標本では一旦停止なしに分枝が生じること、背側標本では一旦停止はするが必ずしも分枝が生じないことを考えあわせると4層にはbranch signalがあり、その他の層には外側膝状体の軸索成長を促す信号(nonstop signal)が存在することも考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yamamoto,N.: "Repulsive and attractive mechanisms for the formation of corticofugal projections." Neuroreport. 6. 1517-1520 (1995)
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[Publications] Toyama,K.: "Brain and Memory,Modulation and Mediation of Neuroplasticity" McGauch,J.M.,Weinberger,N.M.and Lynch,G., 350 (1995)