1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05451071
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Research Institution | THE FACULTY OF ARTS AND LETTERS,TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
須藤 隆 東北大学, 文学部, 教授 (00004060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 達人 東北大学, 文学部, 助手 (00241505)
藤沢 敦 東北大学, 文学部, 助手 (00238560)
富岡 直人 東北大学, 文学部, 助手 (90241504)
阿子島 香 東北大学, 文学部, 助教授 (10142902)
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Keywords | 東日本 / 弥生文化 / 縄文文化 / 文化文化 / 亀ケ岡文化 |
Research Abstract |
本研究は、東日本における弥生農耕文化、初期農耕社会が成立する過程を検討し、文化変化、社会変動のメカニズムを解明することを目的とした。本年度の研究では、計画にそって、(1)1993年、1994年に実施した岩手県中神遺跡の調査資料の分析を行った。その結果、この地方の前期弥生時代の墓制が明らかになった。中神遺跡では土器棺2基を発見したが、いずれも前期後半の合せ口甕棺であることが明らかになった。1組は甕と甕、他は甕と大型台付鉢のセットである。この土器棺墓と他地域の墓制とを比較検討した結果、東北地方南部以南の再葬墓と異質で、東北地方北部の墓制と共通することが明らかにされた。(2)中神遺跡出土資料の分析で、縄文時代から弥生時代の物質文化、ことに土器型式の変遷が明らかにされた。(3)東北北部の馬淵川流域における当該時期の重要遺跡について資料収集を実施した。二戸市金田一川、足沢遺跡の踏査、資料調査などで、西日本前期弥生文化受容に関する貴重な資料をえた。ことに足沢遺跡では晩期終末に九州から最古段階の遠賀川系土器が搬入されていたことを確認した。また、遠賀川系壺と砂沢式鉢の合せ口土器棺墓が発見された金田一遺跡の踏査で、この遺跡が縄文後、晩期の基幹集落であることを確認した。(4)仙台平野において当該期の重要遺跡の資料を検討し、山王囲、中在家南遺跡など、弥生前期から中期中葉の集落、物質文化の比較研究を進めた。山王囲遺跡では集落構造、中在家遺跡では石庖丁や鉄鏃などの石器組成、動物遺存体の基礎的分析を試みた。 本研究では、縄文時代終末から弥生時代にかけての集落、墓制、物質文化、技術、生業活動などに関する様々な貴重な新資料の確保と分析によって、東日本の地域色豊かな弥生文化が成立する複雑な過程の解明に大きな成果がえられたといえる。
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Research Products
(2 results)